お墓を建てて故人の魂を供養しよう
よいお墓とは
故人の遺骨は、お墓に埋葬したり、共同で使用する納骨堂などに納めたりして供養をします。
お墓は決して安い買い物ではありません。
お墓選びに失敗しない為には、墓地と墓石についての知識が必要になります。
お墓は亡くなられた方が入る場所ですが、お墓参りは残された遺族が行います。
よいお墓とは、墓地や墓石の値段が高いものではなく、気軽にお墓参りができる距離にある墓地を借りて定期的に供養する人がいるお墓のことです。
値段が安い墓地を選んだがために、あまりにも交通の便が悪くなってしまうとお墓参りをする遺族に迷惑が掛かりますので、家族とよく相談してから購入してください。
もし、お墓が遠すぎたり、忙しくて行く暇がなかったり、高齢で身体が不自由になってなかなかお墓参りに行けない時は、お墓参り代行というサービスがあります。
お墓参り代行サービスの内容は、
- 雑草を抜いて墓石とその周りの清掃
- お花をお供えする
- 線香をあげる
など、清掃とお墓参りを行ってもらえます。
お墓を建てる時期
一般的には、遺骨の納骨は四十九日法要で行うこととされています。
しかし、四十九日法要までにお墓を建てれない方は、一周忌や三周忌、お盆やお彼岸などに建てても構いません。
最近では、分骨寿陵(ぶんこつじゅりょう)といって生前に自分のお墓を建てて、先祖代々のお墓からお骨の一部を自分のお墓へ分けてもらう方がみえます。
- 用語の説明
- 分骨:今までのお墓に納骨されている骨の一部を新しく買ったお墓に納骨すること。
- 寿陵:生前に自分のお墓を建てること。縁起がいいことだといわれています。
※生前に先祖代々の墓から新しく建てた自分のお墓へ分骨で骨を分けてもらうと新しいお墓でもお墓参りができるようになります。
自分が亡くなったら新しいお墓に納骨されます。
亡くなってから墓地を慌てて探さなくてすむので、生前に納得いく場所を探しておくことも1つの方法です。
- 生前にお墓を建てるメリット
- 自分の好きなデザインのお墓を選べること
- 遺族にお墓を建てる負担を減らせること
- お墓は相続税の対象にならないこと
お墓がすでにある場合
先祖代々などのお墓がすでにある場合は、四十九日法要又は1周忌などの法要の時に僧侶を招いて納骨式をします。
また、新しいお墓に引っ越す場合は改葬(かいそう)をしてください。
改葬とは、古い墓地にあるお墓を新しい墓地へ引っ越すことです。
寺院墓地や民間墓地では拒否するところが多いですが公営墓地なら改葬ができます。
手続きは墓地がある役所で尋ねてみてください。
墓地の種類
みなさんは、先祖代々のお墓はどこにありますか?
お寺にある方、民間の霊園にある方などいろいろだと思います。
また、これからお墓を探すという方もおられるのではないでしょうか。
墓地の種類には、大きく分けて次の3つがあります。
- 寺院墓地:お寺が運営している菩提寺の墓地
- 公営墓地:県や市などが運営している墓地
- 民間墓地:宗教法人などが運営している墓地
そして、墓地には、
- 所有者:墓地を所有している人(お寺、行政、宗教法人など)
- 管理者:墓地を管理している人
- 使用者:墓地の使用権を持っている人
がいます。
通常では、遺骨を埋葬(納骨)する時は所有者の許可がいります。
どこの墓地がいいとか悪いとかは特にありません。
それぞれいいところもあれば悪いところもあります。
家から近くにありお墓参りに行きやすい墓地を選ぶようにしてください。
寺院墓地
菩提寺の境内にある墓地のことで、檀家になることでお墓を持つことができます。
お寺は檀家から御布施をいただいてお寺を維持管理していますので、何かある度に御布施が必要になることを頭に入れておいてください。
寺院墓地では、永代供養をしてもらえることがメリットです。
- 用語の説明
- 菩提寺(ぼだいじ):先祖代々のお墓があるお寺のことです。
- 檀家(だんか):特定のお寺に所属して、そのお寺に葬祭供養(お葬式や法要)を任せることです。戒名を授けてもらい、読経を依頼した時は御布施を行います。
※檀家になるには入檀料、檀家をやめるには離壇料が必要な場合もあります。
公営墓地
都道府県などの自冶体が運営しているので、宗教に関係なく借りられ、また、民間墓地よりも安い費用で借りることができます。
借りる時の条件として、
- 遺骨が手元にあるか?
- 住んでいる場所はどこで、住んで何年経つか?
などの制限があります。
その他では、借りれるかどうかは抽選で選ばれることが多いです。
民間墓地
宗教法人などが運営している墓地のことです。
宗教に関係なく利用できますが、公営墓地や寺院墓地よりも借りる値段が高い傾向があります。
※民間墓地は、運営者が指定している石材店でしか墓石を購入できないところもあります。
その場合は、安い石材店を見つけても利用できないので契約する前に確認してください。
また、経営者が変わると管理料が変更されることがあります。
墓地の永代使用料(えいたいしようりょう)とは
永代使用料とは、お墓を建てる一画の土地を借りる費用や墓地の一画を使用する為の権利金のことで、永代使用料を支払えば永代使用権を買うことができます。
たまに勘違いしている方がみえます。
永代使用権を買うとは、墓地の所有権を買うことではありません。
墓地は使用権を買うことはできますが、自分が所有することはできませんので間違えないようにしてください。
永代使用権を買った後は、毎年の管理費(墓地の施設を綺麗にして維持する為)があります。
※お墓を建てても建てなくても管理費はかかります。
借りた後に他の墓地に移ることになり、今の墓地を返還することになっても基本的には支払った永代使用料は返ってきません。
また、墓石は撤去して更地にして借りる前の状態に戻します。
- 注意事項
- 管理費の支払いを滞納してから3年経過すると、墓地を使用する権利がなくなることがあります。
- 使用権は他人に売ったり譲ったりできません。
- 基本的に墓地は継承者がいないと借りれません。
- 使用権は遺族が引き継ぐことはできますが、引き継ぐ人がいなくなった時は使用権は返します。
墓地・墓石を選ぶ時のポイント
墓地を選ぶ時のポイント
お墓って一体どのくらいの値段がするのでしょうか?
お墓とは、墓地に墓石を建てますので、お墓の金額は、墓地の永代使用料と墓石の値段で決まります。
この2つの値段(永代使用料と墓石の値段)の合計金額で、どこの墓地にするのか決めてください。
※民間墓地はあらかじめ指定された石材店でしか購入できないことが多いので、永代使用料が安くても墓石が高いと出費が多くなることもあります。
墓地と墓石の費用の他には次のことを確認してください。
- 墓地を選ぶ時のコツ
- 交通の便はよいか?
- 公共交通機関で行ける所か?
- 駐車場は広いか?
- 車で何時間かかるか?
- 宗教、宗派の制限があるか?
普段は空いているのにお墓参りの季節は道路は渋滞、駐車場は混雑しているなんてこともあります。
そして、交通の便が悪いとお墓参りに行く機会が減ってしまいます。
なお、寺院、公営、民営問わず、墓地は管理者の対応や立地条件を調べる為に必ず下見をしてください。
墓石を選ぶ時のポイント
墓地が決まりましたら、次は墓石を選びます。
墓石の価格は主に、石の種類、石の産地、石の量で決まります。
- 石の種類
- 硬く耐久性がよい御影石(みかげいし)を使うことが一般的です。
※御影石とは花崗岩のことです。 - その他に、よくつかわれる石として、安山岩、斑レイ岩などがあります。
- 石の産地
- 日本産や外国産など採れた場所のことです。
日本産は外国産よりも価格が高い傾向があります。 - 石の量
- 墓石に使われる石の量は、昔ながらの和型よりも最近人気がある洋型の方が少ない傾向があります。
よい石材店とは、一方的に売りつけてくるお店ではなく、こちらの意見を聞いてくれて要望に答えてくれるところです。
トラブルに巻きこまれない為には必ず、
- 墓石代:石の値段
- 加工費:石を加工する値段
- 工事費:墓石を据え付ける値段
などが記してある見積書を作ってもらってください。
そして、1社目のお店で値引きをたくさんしてくれたからという理由で決めず、数社から見積もりを出してもらいます。
数社から見積もりをもらえば墓石の大体の値段はわかりますので、値段の曖昧さが解決できると思います。
また、契約した墓石と違うものがこないように石の図面をみてサイズを確認してください。
一番重要なことは、墓石を建てた後にしっかりメンテナンスしてくれる石材店かどうかです。
契約時の保証内容をしっかり確認してください。
風化などに強い石(御影石)を使うのが一般的ですが、汚れたり欠けたりして修復などが必要になることがあります。
また、土台の基礎工事がしっかりしていないとお墓が傾いたりします。
※墓石はクーリングオフに対応しています。
お墓を建てる時の費用
ここでは、一般的なお墓を建てる時に必要な金額を紹介します。
最終的には、お墓を建てるのに必要な金額は、墓地の永代使用料と墓石の値段(石そのものの値段と工事費)で決まります。
- 墓地の永代使用料
- 寺院墓地・公営墓地:20万~300万円
- 民間墓地:50万円以上
- 墓石の建立費
- 50万~200万円
その他に、新しいお墓には僧侶に依頼して開眼法要(かいげんほうよう)といって墓石に魂を入れる入魂式の御布施(5万~10万円)が必要です。
墓地と墓石、すべてを含んだお墓を建てる費用は全国平均で約200万になります。
お墓は相続税が課税されませんので、生前にお墓を建てることは節税面でもメリットがあります。
※一般的に言われる墓地の購入とは永代使用権を買うという意味で、土地の所有権そのものは寺院や霊園にあります。
ですので、墓地を購入したといっても、土地を借りていることになります
いろいろある遺骨の埋葬方法
今までの常識では、故人の遺骨は先祖代々のお墓に納骨するのが当たり前でしたが、現在では、お墓にお骨を納骨する他にも様々な埋葬方法があります。
例えば、
- 永代供養墓:お墓を引き継ぐ人がいなくても供養してくれるお墓のこと
- 合葬墓:共同で遺骨を納めて半永久的に供養してくれるお墓のこと
- 手元供養:遺骨を身近に置いて供養すること
その他では、自然葬といって遺骨を自然に還すことを目的とした埋葬方法もあります。
- 散骨葬:細かく砕いた遺骨を、山、川、海に撒くスタイル
- 樹木葬:遺骨を樹木の下に埋めるスタイル
などがあり、いろいろな遺骨の埋葬方法を自分の好みで選べる時代となりました。
永代供養墓(えいたいくようぼ)
墓地の管理者に個人墓と遺骨の管理・供養を永代にわたってお願いするお墓のことです。
但し、永代供養といっても、お墓の継承者がいなくなった時や弔い上げとなる故人の死後33年や50年経過した時などの期限がある場合もあります。
※最終的には、お墓を更地にして遺骨は合葬墓(納骨堂)に納められ供養されます。
合葬墓(がっそうぼ)
自分のお墓は建てずに、墓地の管理者に半永久的に遺骨の管理と供養をお願いする合同のお墓のことです。
寺院、公営、民営などが運営しています。
似たようなお墓では永代供養墓があります。
埋葬方法は、共同で遺骨を納める納骨室を共有して埋葬されます。
利用する人は、
- 結婚していなくて独身の方
- 結婚しているが子供がいない方
などで、お墓を作ってもお墓の跡取り(継承者)がいない方が多いです。
※合葬墓には管理者に供養を依頼するので永代供養料や管理費がいります。
手元供養
最近人気があるのが手元供養というスタイルです。
遺骨は、火葬した後、自宅に安置し続けても法的には問題ないので、
- お墓が遠くてなかなかお墓参りに行けない
- お墓にすべて納骨せずに一部を手元に残したい
- すべて散骨するのは嫌だから一部を手元に残したい
などの理由で、遺骨の一部を身近に置いていつでも故人を感じながら供養できることがメリットです。
手元供養の仕方は、
- そのままの形や細かく砕いて小さい骨壷に入れて手元に残す
- 加工してペンダントにして身につける
- 焼き物にして飾る
などがあります。
自然葬
いままでのように、お墓に納骨するという形にとらわれず、山、川、海などの自然に還すという方法で遺骨を埋葬したいという方が近年増えています。
- 散骨葬(さんこつそう)
- お墓に埋葬せず、遺骨の一部を細かく砕いて、山、川、海などに撒きます。
- 遺骨はそのままでは散骨できないので、業者に細かく砕いてもらってから散骨します。しかし、すべて散骨せず、遺骨の一部はお墓に納めたり、家族が手元に置くケースが多いです。
- 散骨場所は、自然葬について定めた法律はなく、常識の範囲内で散骨場所を業者と相談して決めます。
例えば、故人の希望で思い出がある場所を選んだり、ガンジス川など海外へ散骨する方もみえます。 - ※他人の所有地に散骨することは望ましくありません。
また、自分の家の庭に散骨することも、ずっと自分の家である保証がないのであまり望ましくありません。 - 樹木葬(じゅもくそう)
- 遺骨を土の中に直接埋めて、その上に墓石の代わりに樹木(桜など)を植える埋葬方法で、人工物を使わないので自然環境にやさしいとされ近年人気があります。
- 埋葬場所はあらかじめ定められていて専用の墓地があります。
また、宗教宗派は問わず、継承者も必要ない永代供養の形をとるものが多くなっています。
(記事作成日:2016年7月9日、最終更新日:2017年2月7日)