野菜を育てる作業手順と作業内容は野菜によって違う
- カテゴリー
- 家庭菜園の悩み
- ジャンル
- プランター菜園の野菜作りの基本
- 目的(解決できる悩み)
- 野菜によって異なる野菜を育てる作業手順を覚えること
- 目次
- 1.野菜の生育中に行う作業内容
- 野菜を育てる手順は野菜によって変わる
- 種撒き
- 苗の選び方
- 水やり
- 追肥
- 間引き
- 支柱立てと誘引
- 摘芯とわき芽かき
- 人工授粉
- 収穫
1.野菜の生育中に行う作業内容
野菜栽培を始める時は、まずは、種撒きや苗を植え付けることは誰でもわかると思います。その後は野菜が収穫できるまで大きくする為に、水やり、追肥、間引き、支柱立て、誘引、人工授粉といった作業を行わなくてはいけません。
このように、種撒きや苗を植え付けた後は野菜栽培の作業を行わなければいけません。何も作業をせずに育てると野菜は枯れてしまいます。野菜の生長を見ながら手間暇かけて育ててください。
野菜を育てる手順は野菜によって変わる
野菜を収穫するまではこまごまとした作業が多いですが、野菜を大きく生長させる為に絶対に必要な作業です。
野菜は食べる部位ごとで大きく分類すると、実もの野菜、葉もの野菜、根もの野菜の3種類に分けることができます。
野菜の分類
- 実もの野菜:トマト、キュウリなどのように実を収穫する野菜
- 葉もの野菜:コマツナ、レタスなどのように葉っぱを収穫する野菜
- 根もの野菜:ニンジン、大根などのように根を収穫する野菜
野菜の生育中に行う作業内容は、実もの野菜、葉もの野菜、根もの野菜によって変わります。種まきや苗を植え付けてからの野菜を育てる作業の順番は次のように1つ1つ忘れずに行いましょう。
- 実もの野菜の収穫までの作業手順
- 種撒き、又は苗の植え付け
- 水やり・追肥
- 支柱立てと誘引
- 摘芯とわき芽かき
- 人工授粉(スイカ、メロン、カボチャ、トウモロコシ)
- 収穫
- 葉もの野菜・根もの野菜の収穫までの作業手順
- 種撒き
- 水やり・追肥
- 間引き・増し土
- 収穫
種撒き
野菜の種を購入して種撒きする方法は、プランターへ直接種をまく直まきと、ポットに種をまいて発芽させ、ある程度の大きさになるまで育てた後にプランターへ植え付ける移植栽培があります。
直まきには、点まき、すじまき、ばらまきの3種類があり、発芽しなかった時のことを考慮して多めに種を撒くことがポイントです。
- 点まき
- 点まきは、ペットボトルのキャップなどで穴を空けて種を2~3粒入れて埋めます。粒が大きい種に向いています。
- すじまき
- すじまきは、直線で細長く撒き溝を作って種を撒いて埋めます。粒が小さい種に向いています。
- ばらまき
- ばらまきは、種が重ならないように土全体にばら撒きます。粒が小さい種に向いています。
- 移植栽培(ポット撒き)
- ビニールポットに培養土を入れ、深さ1cmくらいの穴を空けます。空けた穴に種を入れて、種が隠れるように土を被せます。
ポットで本葉が数枚出てくるまで育ててからプランターに植え変えます。ポットは移動が簡単なので温度管理がしやすいです。
野菜の種を早く発芽させるには、土が乾燥しないこと、温度が適切であることが求められ、種が発芽して根が伸びるまでは水やりをこまめにして土が乾燥しないようにしましょう。
また、野菜の種は、光を好むのかそれとも光を嫌うのかというどちらかの特性を持っています。
光を好む野菜の種は好光性種子といって光が当たらない場所では発芽がしにくくなり、光を嫌う野菜の種は嫌光性種子といって光が当たると発芽がしにくくなる特徴を持っています。
- 好光性種子の野菜
- レタス、ニンジン、インゲン、こまつな、セロリ、ミツバ、しゅんぎくなど
- 嫌光性種子の野菜
- ナス、トマト、ピーマン、カボチャ、スイカ、メロン、ニラ、ネギ、タマネギなど
種撒き後に中々発芽しないという方は、温度や水の他に種に被せる土の量にも気をつけて管理してください。
なお、種が発芽しましたらプランターやビニールポットは日当たりと風通しがよい場所に移動させて育てましょう。
苗の選び方
苗半作(なえはんさく)という言葉をご存じでしょうか。野菜がすくすく育っていくには、良い苗を選ぶことがとても大切です。
野菜を育て始めるスタートラインです。生育の悪い苗を育てると数ヵ月後の収穫量の減少に大きく影響してきます。
良い苗とは、次のような苗です。ホームセンターで苗を選ぶ時の参考にしてください。
良い苗の条件
- 茎の節間(節と節との間)の長さが狭いもの
- 葉っぱが枯れていなくいきいきしているもの
- ビニールポットの底から根っこが出ていないもの
また、苗には、実生苗(みしょうなえ)と接ぎ木苗(つぎきなえ)があります。
実生苗は種から育てた普通の苗、接ぎ木苗は根の部分の土台が病気に強い植物に変えてある苗のことです。
接ぎ木苗は、値段は高いですが、病気に掛かりにくい、害虫被害にあいにくい、連作可能などのメリットがあります。
水やり
水やりに適した時間帯は直射日光が強くない午前中です。
土の表面が乾燥していたらプランターの底から水が出てくるくらいたっぷり水やりをします。
野菜の根は水を求めて伸びていく性質があり、土の表面だけ湿らせる程度の水やりでは、土の表面近くに野菜は根を張ってしまうので生長が弱くなります。水をたっぷり与えて根が地中深くまで伸びていくようにしましょう。
水やり1回の水の量の目安としては、10Lの土で水は2Lくらいです。
ジョウロには、ハス口(はすくち)付きとハス口無しがありますが、水やりに使うジョウロはハス口付きのジョウロが適しています。
※ハス口無しのジョウロで水やりをすると水の勢いが強いので土が固まりやすくなります。
野菜の生長には水は不可欠で、水がなければ水分不足で枯れてしまいます。適度の水やりを心がけましょう。
追肥
培養土には元肥といって、肥料が初めから土に混ざっていますが、水やりで流されたり、大雨が降って流されたり、野菜の根から吸収して時間の経過とともに少なくなり、元肥だけでは足りなくなってきます。
野菜は生長と共に根から吸収する栄養分は多く必要で、肥料が少なくなると栄養不足となり野菜の苗は枯れてしまいます。
そこで、追肥といって定期的に肥料を土に投入して栄養分を土の中に補給する作業が必要になります。
追肥に使う肥料としては速効性の化成肥料が適していて、肥料を与える場所は株元から少し離れた場所にばら撒くか埋めます。
※化成肥料の他には速効性がある液体肥料も適しています。
野菜の種類によって異なりますが、肥料を多く与え過ぎると肥やけして根が傷んだり、さらに茎や葉が大きく茂るつるボケになります。肥料のやりすぎはよくないので気をつけましょう。
間引き
種撒きする時に普通は多めに種を撒いているので発芽後に間引きという作業が必要になります。
種撒きをして発芽後に株間(株と株の間)が込みだしてきたら、風通し、日当たり、生長を良くする為に数回にわたって間引きをします。
間引くタイミングとしては、発芽してから本葉が数枚出てくる間に虫に食べられたりしたもの、生育が悪いものをハサミで切るか、根っこから抜き取って違う場所に植え変えるかして少しずつ株間の調整をします。
間引かずにそのまま育てると葉っぱが密集しすぎて生長が悪くなるので、必ず間引き作業を行い健康なものだけを残すようにしましょう。
支柱立てと誘引
支柱は、トマト、ナス、キュウリ、ピーマンなどの実もの野菜を育てる時に必要になります。
支柱を立てる目的は、伸びたつるや枝が折れないようにすること、風で茎や枝が倒れないようにすること、風通しや日当たりをよくすることです。
支柱でつるや枝を支える時は、ビニールひもや麻ひもなどの柔らかいひもを使ってところどころを支柱と結びつけます。その作業を誘引といいます。
支柱に誘引して、強風で茎や葉、実の重さで苗が倒れないようにしましょう。
摘芯とわき芽かき
野菜が生長するとつるやわき芽がどんどん伸びてきます。
摘芯(てきしん)とは生長点(つるの先端)を摘み取ることで、わき芽かきとは茎と葉のつけ根から出てくる若い新芽を摘み取ることです。
支柱の高さで誘引できなくなったつるの先端を切ることで、根から吸収した栄養分を実の方に送り、実つきを良くして収穫量を増やします。
また、わき芽を伸ばすと栄養分がわき芽の生長に使われて、その結果、実つきが悪くなりますので、不要なわき芽は切って栄養分を実の方へ送ってください。
つまり、摘芯とわき芽かきは実の生長を促進させる目的で行います。
※わき芽かきをすると葉が混み合わなくなり風通しが良くなるので病害虫の発生も少なくなります。
なお、ナス、ミニトマト、ピーマンなど、野菜によっては収穫量を増やす為にわき芽を数本伸ばすことがあります。
人工授粉
人工授粉とは、人為的に雄花の雄しべのやくの花粉を雌花のめしべの柱頭に運んで授粉させることです。
ほとんどの野菜は受粉は必要はありませんが、雄花と雌花が別々に咲く野菜は受粉しないと実は大きくなりません。
屋外での栽培では、ミツバチなどの虫が花粉を運んで受粉を助けますが、虫がいない環境で野菜を育てている時は人工的に授粉させる必要があります。
※人工授粉が必要な野菜は、スイカ、メロン、カボチャ、トウモロコシなどです。
授粉させる作業方法は、雄花を切って雌花にこすりつける、又は筆を使ってこすりつけるの2種類があります。
※キュウリは雄花と雌花が別々に咲きますが、受粉しなくても実が大きくなる単為結果という性質があります。
受粉に成功して柱頭から胚珠に花粉管が伸び精細胞と卵細胞が受精すると雌花のつけねの膨らんでいる部分が大きくなって実になります。
収穫
野菜の種まきや苗を植え付けてから数カ月間野菜を育てると、ようやく大きく育った実の収穫ができるようになります。
野菜の収穫適期は次のように、実もの野菜、葉もの野菜、根もの野菜に関係なく様々です。
野菜の収穫時期
- 実が完熟してから収穫する野菜
※トマト、パプリカ、スイカ、メロン、イチゴ、トウガラシなど - 実が完熟する前(未熟の時)に収穫する野菜
※ナス、キュウリ、ピーマン、甘トウガラシ、オクラ、エダマメ、インゲンなど - 根や葉が大きくなってから収穫する野菜
※ダイコン、ニンジン、じゃがいも、こまつな、キャベツ、レタスなど
また、野菜の収穫時に気をつけることは、
収穫前に行うpoint
- トマト、イチゴなどは鳥に食べられ、スイカ、メロンは鳥が突っついていたずらをします。ネットを被せるなどして鳥に食べられないようにしましょう。
- 野菜は全般的にいもむしなどの虫に食べられます。野菜を育ててきて収穫時期に虫に食べられて収穫できなくなると悲しいので、殺虫剤を散布するなど害虫対策をしてください。
などのように、鳥害対策、害虫対策を行うことです。
(記事作成日:2016年9月26日、最終更新日:2023年4月22日)