虫歯は歯に付着したプラークが原因
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- 虫歯になる原因がわかるようになること
- 目次
- 1.虫歯になる仕組みの基礎知識
- 歯が虫歯になる原因って何だろう?
- 歯に付着したプラークの特徴と働き
- 口の中のpHの値で歯が溶けるのか溶けないのか決まる
1.虫歯になる仕組みの基礎知識
虫歯になる原因は、歯の上面に付着したプラーク(歯垢)とpHが酸性に傾いた唾液です。
プラークの中の虫歯菌が出す酸によって歯のエナメル質が段々溶けて穴が開いてしまいます。
虫歯予防をするには、プラークがつかないようにしっかり歯磨きをして、歯にこびりつくお菓子は食べないようにしましょう。
歯が虫歯になる原因って何だろう?
私たちの歯はいったん虫歯になってしまうと、歯医者さんで診察してもらって虫歯の部分を削って埋める(歯科用プラスチック樹脂を詰めたり金属を被せる)という治療をしてもらわないと完治できませんよね。
虫歯になってしまった歯を自然の流れに任せて放置していると虫歯はどんどん悪い状態へ進行していき、やがて痛みを伴うようになり、虫歯の状態がひどい時は抜くことになるかもしれません。
虫歯がひどくなってから治療を開始するよりも虫歯が軽い状態や虫歯になる前に予防して、少しでも健康な歯を残す努力をすることが大切です。
私たちの歯が虫歯になってしまう主な原因は、次のようにプラーク(歯垢)の中の虫歯菌が出す酸によるものです。
- 食事をすると糖分を分解して細菌が増え歯の表面にプラーク(歯垢)を作る
※プラークとは、歯の表面に付着するグルカンというネバネバした物質で細菌のかたまりです。 - プラークの中の虫歯菌が糖分をエネルギーにして酸を作る
※酸は食事をすると2~3分で作られます。 - 虫歯菌が出す酸によって歯の表面のエナメル質からカルシウムが抜けだして脱灰が始まる
- 噛むことによりたくさんの唾液が分泌され酸を中和する
- 唾液に含まれるカルシウムなどの成分が歯に取り込まれて30~40分程で再石灰化して元の状態に戻る
このように、私たちの口の中の歯は食事をするごとに脱灰と再石灰化という行程を繰り返し行っています。
そして、歯の表面は食事の時に虫歯菌の酸によって溶かされる危険にさらされていますが、口の中で分泌される唾液の力により歯が脱灰した後に再石灰化して虫歯にならない仕組みを維持しています。
唾液は、消化酵素のアミラーゼがデンプンをブドウ糖などに分解して消化を助け、歯にこびりついた食べかすを洗い流して、酸を中和して再石灰化する働きがあります。
しかし、プラークが歯の表面に付着していて思うように再石灰化ができなくなると、歯の表面のエナメル質が溶けて穴が開き虫歯になってしまいます。
歯の表面に付着したプラークは唾液では落とせないので歯みがきをして落とすしかありません。
プラークは2週間程で歯石(しせき)変わり、歯石は歯みがきでは除去できなくなるので、虫歯予防をするにはプラークのうちに歯みがきで除去するように対策を講じることが必要です。
歯に付着したプラークの特徴と働き
歯に付着したプラーク(歯垢)や歯石は、虫歯や歯周病と深く関係しています。
プラークとは歯垢(しこう)のことで、歯みがきが不十分で歯に磨き残しがあると、その場所の食べかすをエサにして細菌が増殖したものです。
わかりやすくいくと、歯を指でこするとネバネバした白色い物質が付着すると思いますがそれがプラークです。
プラーク1mg当たりに約1億個の細菌が潜んでいて、主にミュータンス菌が虫歯の原因とされています。
※ミュータンス菌は食事の時に親などの口から口移しなどをして子供に移ってきます。
歯に付着したプラークをそのままにしておくと、バイオフィルムという膜を形成して歯みがきでは除去できなくなり、その箇所が唾液に含まれるカルシウムなどと結びついて2週間程で歯石に成長して硬いかたまりになります。
歯石がついている箇所は虫歯菌が出す酸で虫歯になりやすくなりますし、一旦歯石になってしまうと歯みがきでは除去できなくなるので歯医者さんに行って取ってもらうしか除去する方法はありません。
このように、プラークは細菌のかたまりなので、歯に溜まらないように歯みがきを徹底しなければいけません。
プラークが溜まりやすい場所としては、
プラークが溜まりやすい場所
- 奥歯の根元付近
- 歯と歯の隙間
- 歯と歯ぐきの境目
などのような歯みがきがしにくい箇所に付着しやすいです。
私たちが子供の頃は、アイスクリーム、チョコレート、キャラメル、キャンディーなどの甘いものを食べると虫歯になるといわれてきましたが、実際は甘いものではなく食べ物に含まれる糖分が虫歯の原因になっています。
チョコレートに含まれているココアは虫歯予防に効果があるらしいですが、多くのチョコレートには砂糖(糖分)が含まれているので虫歯になりやすいです。
なぜなら、虫歯菌は糖分をエネルギー源として酸を作り出すので、口の中に糖分が長い時間居座ってしまうと虫歯になりやすくなります。特に歯にこびりついてしまうお菓子は虫歯になりやすい傾向があるので注意してください。
糖分を摂らないようにすればいいんじゃないのかと思われますが、糖分は砂糖の他には、白米、パン、麺類、じゃがいもなども含んでいて、人間にとって糖分はエネルギー源なので摂らないようにすることは無理です。
口の中のpHの値で歯が溶けるのか溶けないのか決まる
歯のエナメル質は脱灰と再石灰化を繰り返しているとお話してきましたが、そもそも脱灰と再石灰化はどうして起こるのでしょうか。
脱灰と再石灰化は口の中のpHが深く関係しており、pHの値が5.5よりも小さくなると歯の表面からミネラル分が溶けだして脱灰し、pHの値が5.5よりも大きくなると唾液に含まれるミネラル分が歯の表面に取り込まれて再石灰化します。
pHとは、水素イオン濃度指数のことで、0~14までの数字を使い、7より小さい値は酸性、7は中性、7より大きい値はアルカリ性を表します。
唾液は酸性のpHを中性付近に戻す役割があるので、通常は唾液の作用で口の中のpHの値は7付近を保っていますが、食事をすると細菌が糖分を分解して酸を出してpHの値は4付近になります。
このように、口の中に食べ物を入れるたびにpH5.5を境にして脱灰と再石灰化が繰り返し起きています。
また、細菌は糖分を分解して酸を作りだして歯の表面のエナメル質を溶かしていますが、その他では、酸性の食べ物を食べて歯の表面のエナメル質が溶けることもあります。
市販されているほとんどの種類の清涼飲料水は酸性のものが多いので歯の表面のエナメル質が酸によって溶けて虫歯になりやすくなります。
酸性の食べ物や飲み物で歯が溶けることを酸蝕症(さんしょくしょう)といいます。
例えば、日常生活で人気がある飲み物のpHを挙げてみると、
飲み物のpH
- コーラ:pH2
- 黒酢飲料:pH3
- サイダー:pH3.5
- スポーツドリンク:pH3.5
- 果物のジュース:pH4
- お茶:pH6
- 水:pH7
となっています。
歯の脱灰と再石灰化が起きる境界線となるpHの値は5.5なので、コーラなどのような強酸性の飲み物ばかり毎日飲んでいるとどうなるのか想像がつきますよね。
大昔にコーラを飲むと歯や骨が溶けるという噂を聞いたことがありましたが、歯の表面のエナメル質が溶けていたんですね。
間食する時は歯の健康のことを考えると、ジュースはほどほどにしてお茶や水を飲むようにするのがいいでしょう。
(記事作成日:2017年8月23日、最終更新日:2019年8月6日)