DIYで自作する小規模な太陽光発電システムで準備するインバーターの選び方・使い方
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- インバーターの選び方と使い方
- 目的(解決できる悩み)
- 小規模な独立蓄電型太陽光発電システムを自作する時に使うインバーターの選び方と使い方がわかるようになること
- 準備に必要な費用
- 疑似正弦波(矩形波)の出力500Wのインバーターで5000円くらいです
- 目次
- 1.インバーターの基礎知識
- インバーターって何ですか?
- 2.インバーターの選び方
- 入力電圧の大きさを確かめる
- 定格出力の大きさで接続できる電気機器が決まる
- 出力される交流波形を確かめる
- コンセントとUSB出力の個数を確かめる
- おすすめのインバーター
- 3.インバーターの使い方
- インバーターとバッテリー間の接続方法
1.インバーターの基礎知識
独立蓄電型の太陽光発電システムを構築する時はインバーターを用意してください。
インバーターは、正弦波、疑似正弦波、矩形波の種類があります。
インバーターがあればソーラーパネルで発電した直流の電気が蓄えられているバッテリーからインバーターを介して交流100Vの電気に変換して電化製品を使うことができます。
インバーターって何ですか?
インバーターとは、直流(DC)の電気を交流(AC)の電気に変換する機器のことをいいます。
※直流の電気のことをDC、交流の電気のことをACといいます。
太陽光発電で発電した電気を貯める際は通常はバッテリーを使いますが、バッテリーって直流の電気だから家庭用の電気機器の電源は入らないんじゃないのと思っている方はいませんか。
確かに家庭用の電気機器は交流100V(AC100V)で動作するように設計されているので、バッテリーに貯めてある直流12V(DC12V)を家庭用の電気機器の差し込みプラグに加えても電源は入りませんが、ある機器を使えばバッテリーで家庭用の電気機器を動作させる方法があります。
では、どのようにすれば家庭用の電気機器をバッテリーで動作させられるようになるのかというと、インバーターを使って電気の性質と電圧を変えてしまえば動作させることができます。
ですので、インバーターを使ってバッテリーに貯めてある直流12Vの電気から交流100Vの電気を作りだして家庭用の電気機器に電気を供給すれば問題は解決できます。
但し、どの種類のインバーターでも、電気を直流から交流に変換する時に5~20%くらいの変換損失が発生します。また、直流12VをUSB電源の直流5Vに変換する際も余計な電気は熱として放出されるので損失なく変換することはできないものだと覚えておいてください。
※電気を損失なく使う方法は、直流12Vのままで動作する車用の電気機器を使う時は、12Vのままで電気機器に供給することです。
インバーターは、太陽光発電で発電した電気を地震や台風による災害で停電した非常用として使う目的の他にも、普段から家の中で使っている電気機器を動作させる時に使ったり、車のシガーソケットからでも使用可能なのでドライブ中でも役に立ちます。
2.インバーターの選び方
インバーターは、バッテリーに貯めた直流の電気を交流の電気に変換して家庭用の電気機器を動かす時に使う装置ですが、メーカーや製品の作りの違いで性能と価格が異なってきます。
インバーターを選ぶ時は、
インバーターを選ぶ時のpoint
- 入力電圧の大きさ
- 定格出力の大きさ
- 出力される交流波形の形
- コンセントとUSB出力の個数
に気をつけて選んでください。
入力電圧の大きさを確かめる
バッテリーから出力する電圧の大きさによってインバーターの入力電圧が変わりますので、インバーターに入力する電圧は何Vなのかを確認してください。
DIYで対応できるインバーターの入力電圧の種類としては、
入力電圧の種類
- 12V専用
- 24V専用
- 20~45V対応
などの種類があります。
小規模の太陽光発電ならば12Vバッテリー1個と12V用のインバーターで行うことが一般的ですが、24Vバッテリーへ充電するように太陽光発電システムを構築する方は24V用のインバーターを購入してください。
定格出力の大きさで接続できる電気機器が決まる
定格出力とは、インバーターを通常使用することを目的とした場合の最大の出力電力のことです。
例えば、インバーターに定格出力300Wと書かれていれば、インバーターを通して使用している電気機器の消費電力が合計して300Wまでなら同時に使うことができるという意味合いがあるので、インバーターを選ぶ際は定格出力の大きさに気をつけてください。
※電気機器の消費電力が知りたい方は、電気機器の裏側のラベルや取り扱い説明書の仕様の欄に書かれています。
その他に覚えておきたい出力の名称としては、最大出力と瞬間最大出力です。
用語の説明
- 最大出力:数分間という短時間のみ出力できる電力のこと
- 瞬間最大出力:一瞬のみ出力できる電力のこと
このように、定格出力、最大出力、瞬間最大出力は違う意味の言葉なので間違えないようにしてください。
稀に、電気機器の消費電力がインバーターの定格出力以内でも交流モーターを使っている電気機器では動かない場合があります。
その場合は、スイッチを入れた瞬間に大きな始動電流が流れなければ動かないので、瞬間最大出力が電気機器の消費電力の2~3倍くらいのインバーターが必要となります。
なお、インバーターの定格出力に対する重量の目安は、
インバーターの定格出力と重さ関係
- 300Wの定格出力で600g
- 500Wの定格出力で1kg
- 1000Wの定格出力で2kg
なので、選ぶ時に重さも考慮する方は参考にしてください。
出力される交流波形を確かめる
インバーターは、出力される交流波形の形の違いにより、正弦波(せいげんは)インバーター、疑似正弦波(ぎじせいげんは)インバーター、矩形波(くけいは)インバーターの3種類に分類できます。
- 正弦波インバーターの特徴
- 正弦波インバーターとは、正弦波(sin波:サイン波)という交流波形を出力する回路で構成されているインバーターのことです。
- 正弦波とは、時間的に変化する交流波形がサインカーブを描いている波形のことで、正弦波インバーターを使えば各家庭のコンセントに供給されている商用の電気と同じ波形を出力することができます。
- 正弦波インバーターを使うメリットは、品質が良い交流波形を出力できるので、すべての電気機器を動作させることができますが、価格がとても高いのでよく考えてから購入してください。
- 疑似正弦波インバーターの特徴
- 疑似正弦波インバーターとは、正弦波に似せた形(カクカクした形)をした交流波形を出力する回路で構成されているインバーターのことです。
※疑似正弦波インバーターのことを、修正正弦波インバーターともいいます。 - 疑似正弦波インバーターは価格は安いですが、一部の電気機器は動かないことがあるので製品の注意事項をよく読んでから購入しましょう。
- 矩形波インバーターの特徴
- 矩形波インバーターとは、正弦波ではなく矩形(四辺形)をした交流波形を出力する回路で構成されているインバーターのことです。
- 疑似正弦波インバーターと同じように価格は安いですが、一部の電気機器は動かないことがあるので製品の注意事項をよく読んでから購入しましょう。
疑似正弦波インバーターや矩形波インバーターは、スマホの充電、デジカメの充電、ノートパソコンの起動などのようなACアダプターを使う機器、LED照明や蛍光灯の点灯などは対応できますが、それ以外の電気機器を使う予定の方は電気機器が動作しないことがあるので正弦波インバーターを選んだ方が無難です。
コンセントとUSB出力の個数を確かめる
インバーターは直流を交流に変換する装置なのでコンセントしか備え付けられていないと思われていますが、インバーターの出力形態としては、
インバーターの出力形態
- AC100Vのコンセントのみを備え付けている機種
- AC100VのコンセントとDC5VのUSB出力を備えて付けている機種
の2種類があります。
インバーターの出力は、コンセントのみ必要なのか、コンセントとUSB出力の両方が必要なのか、また、コンセントやUSB出力の個数はいくつ必要なのかも考えてから選ぶようにしてください。
おすすめのインバーター
太陽光発電で使うインバーターの種類はいろいろありますが、ここでは、どのような家電製品も動かせれる正弦波出力のインバーターを紹介します。
おすすめのインバーター
商品名:大橋産業(BAL) 3WAY正弦波インバーター 400W
大橋産業の3WAY正弦波インバーターは、定格出力が400WでDC12Vバッテリー用のインバーターです。
AC100Aのコンセント、DC5VのUSB、DC12Vのシガーソケットの3タイプの出力端子を備え付けています。
製品の特徴は、純正弦波が出力させているので電化製品の消費電力の合計が400Wまでの全ての電化製品を使うことができることです。
※疑似正弦波(矩形波)では動作しなかった電化製品も動かすことができます。
但し、純正弦波のインバーターは価格が高いので、予算に応じで疑似正弦波や矩形波タイプを選んでください。
3.インバーターの使い方
インバーターは、流れる電流の大きさに耐えることができる太さの電線・ケーブルを使ってバッテリーの端子に接続してください。
なお、インバーターはチャージコントローラーの負荷端子に接続して使う機器ではないので間違えないようにしてください。
インバーターとバッテリー間の接続方法
まずは、バッテリーから出力する電圧の大きさに対応したインバーターを準備してください。
※バッテリーの出力電圧が12Vの場合はインバーターの入力電圧は12V、バッテリーの出力電圧が24Vの場合はインバーターの入力電圧は24Vです。
インバーターを使う時は、インバーターの端子とバッテリーの端子を接続して使います。
インバーターをバッテリーに接続する時の手順を見ていきましょう。
手順1
インバーターを購入した時に付属品されていたバッテリークリップケーブル、又は自分で終端を加工した電線・ケーブルをバッテリーのプラス端子とインバーターのプラス端子を接続した後に、バッテリーのマイナス端子とインバーターのマイナス端子を接続します。
※インバーターには保護回路が入っていますが、配線をプラス・マイナス逆につなげるとインバーターが壊れることがあるので注意してください。
インバーターに付属されている車のシガープラグを使って接続する場合は、バッテリーの端子にシガーソケットの電線を接続、インバーターの端子にシガープラグの電線を接続して、最後にシガーソケットにシガープラグを差し込んでください。
※シガーソケットが付属していなかった場合は、ホームセンターやカーショップで、別途、シガーソケットを購入してください。
シガープラグを使う時の注意点ですが、シガープラグの本体には15Aのガラス管ヒューズが入っていることが多いので150W以上の電力を使うとヒューズが切れます。大電力を使う際はシガープラグは使わないようにしてください。
手順2
バッテリーとインバーターの端子間の配線の接続が終わりましたら、各端子の接続箇所に緩みがなく確実に接続されていることを確認してください。
※配線を引っ張ったら端子部分から外れたりぐらぐらするようではダメですよ。
手順3
各接続箇所に緩みがないことが確認できたらインバーターの電源スイッチを入れ、冷却ファンが回りだして使用可能な状態になります。インバーターのコンセントやUSB出力に、スマホやデジタルカメラの充電、扇風機、照明器具、保温・保冷庫などを接続して使用してください。
※50Hz、60Hzの周波数変換スイッチが備わっている製品がありますが、今の時代は電気機器内にインバーターが内蔵されているのでどちらの周波数でもいいと思います。不安な方は、東日本で購入した電化製品は50Hz、西日本で購入した電化製品は60Hzにして使ってください。
なお、インバーターの定格出力よりも大きな電力を消費する電気機器を接続すると製品が壊れないように守る為に保護回路が働いて電気の供給を止めてしまいますので、インバーターから電力を供給する電気機器はインバーターの定格出力以下で使うようにしてください。
(記事作成日:2017年10月9日、最終更新日:2021年8月31日)