DIYで自作する小規模な太陽光発電システムで準備するバッテリーの選び方
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- バッテリーの選び方と使い方
- 目的(解決できる悩み)
- 小規模な独立蓄電型太陽光発電システムを自作する時に使うバッテリーの選び方がわかるようになること
- 準備に必要な費用
- 電気容量が105Ahのディープサイクルバッテリーで13000円くらいです
- 目次
- 1.バッテリーの選び方
- バッテリーの電圧を決める
- バッテリーの種類で特性が異なる
- 鉛バッテリーを選ぶ方は鉛バッテリーの種類を決める
- バッテリーの容量で蓄えれる電気の量が決まる
- おすすめのバッテリー
1.バッテリーの選び方
太陽光発電とは、太陽の光を利用した発電方法のことです。太陽電池で光エネルギーを電気エネルギーに変換した後はバッテリーに一度貯めてから電気機器に電気を振り分けて使うのが一般的な使い方です。
太陽光発電システムを構築する時は、ソーラーパネルで発電した電気を貯めておく為にバッテリーが必要ですが、製品の作りの違いで性能と価格が異なってきます。
バッテリーを選ぶ時は、
バッテリーを選ぶ時のpoint
- バッテリーの電圧
- バッテリーの種類
- 鉛バッテリーを選ぶ方は鉛バッテリーの種類
- バッテリーの容量
に気をつけて選んでください。
バッテリーの電圧を決める
バッテリー自体は、直流(DC)12Vと直流(DC)24Vの2種類が販売されており、自作した太陽光発電で使うバッテリーの入出力電圧としては、直流12V又は直流24Vのどちらかを使うことが一般的です。
※直流のことをDCと表記することもあります。
12Vのバッテリーを1個使えば12Vの入出力電圧、24Vのバッテリーを1個使えば24Vの入出力電圧として使うことができますが、バッテリーの入出力電圧は次のように12Vのバッテリーを2つの組み合わせ方で12Vにも24Vにも対応可能です。
発生電圧と2つのバッテリーの接続方法の関係
- 12Vで使う方法:12Vのバッテリーを2個以上で並列接続して使う
- 24Vで使う方法:12Vのバッテリーを2個直列接続して使う
なお、24Vで使うメリットとしては、同じ電力の場合では、12Vで使うよりも24Vで使った方が電線・ケーブルに流れる電流が少なくなるので、より線の太さを細くできることです。
バッテリーの電圧は特に気にしない方は、12Vで使った方が太陽光発電の構築コストは安いです。
バッテリーの種類で特性が異なる
自作した太陽光発電で使うバッテリーの種類は、自動車用の鉛バッテリー、マリン用やキャンピングカー用のディープサイクル鉛バッテリー、軽量なリチウムイオンバッテリーの3種類があります。
- 自動車用の鉛バッテリーの特徴
- 自動車用の鉛バッテリーとは、車のエンジンルームに装着するバッテリーのことです。
- 最近では、開放型バッテリーではなくMF型(メンテナンスフリー型)バッテリーが多く普及しているので、バッテリー液の補充はいらなく扱いやすくなりました。
- 太陽光発電では、自動車用のバッテリーを価格が安いという理由で使う方が多くいますが、自動車用のバッテリーは大電流を流すのが優れていますが過放電に弱いという特徴があるので使う時は注意してください。
- 車のバッテリーが上がった後に再度充電しても、以前と比べるとバッテリーが弱くなった経験をお持ちの方はいると思いますが、一度エンジンが掛からなくなるくらいまで放電してしまうとバッテリーの寿命が大きく低下してしまうので、満充電に近い充電量を維持しながら使う必要があります。
- ディープサイクル鉛バッテリーの特徴
- ディープサイクル鉛バッテリーは、電動車いすや電動フォークリフトなどに使われていて、自動車用のバッテリーよりも過放電後に充電しても性能を維持できるように設計されているので太陽光発電用に使うのがおすすめです。
- ですので、バッテリーの充電残量が少なくなったら充電するといった繰り返しの充電に強く、充電残量が50%くらいになったら充電するのがバッテリーを長持ちさせる使い方です。
- 但し、過放電したまま放置すると寿命が短くなるのですぐに充電してください。また、ある程度放電させてから充電するよりも充電残量が多く残っている状態で充電する方が多くの充電回数に耐えることができます。
- リチウムイオンバッテリーの特徴
- リチウムイオンバッテリーは、太陽光発電で一般的に使われているディープサイクルバッテリーと比べると、充電できる回数が多く寿命が長い、重量が軽い、サイズがコンパクトというようにメリットが多くありますが、1つデメリットがありまして価格が高いことです。
- ディープサイクルバッテリーや自動車用のバッテリーで満足できる方は、リチウムイオンバッテリーを無理して購入する必要はないと思います。
このように、バッテリーの種類の違いで充放電の性能が異なってくるので、よく考えてから購入してください。
鉛バッテリーを選ぶ方は鉛バッテリーの種類を決める
鉛バッテリーを選ぶ方は構造の違いにより、開放型バッテリー、MF型(メンテナンスフリー型)バッテリー、完全密閉型(シールド型)バッテリーの3種類があります。
- 開放型バッテリーの特徴
- 開放型バッテリーは、定期的にバッテリー液(蒸留水・精製水)の補充が必要で、充電中に発生した水素ガスを外気へ放出します。バッテリーを横にするとバッテリー液がこぼれるので横にして置かないようにしてください。
- MF型(メンテナンスフリー型)バッテリーの特徴
- MF型バッテリーは、バッテリー液を補充する頻度は極力少なく、充電中に発生した水素ガスの外気への放出は少ない特徴があります。バッテリーを横にするとバッテリー液がこぼれるので横にして置かないようにしてください。なお、バッテリー液が減るのは稀ですが、バッテリー液が減っていたら蒸留水・精製水を補充する必要があります。
- 完全密閉型(シールド型)バッテリーの特徴
- 完全密閉型バッテリーは、完全に密閉されているのでバッテリー液を補充する必要はなく、充電中の水素ガスは外気へ放出されません。バッテリーを横にしてもバッテリー液はこぼれない構造です。
人気があるバッテリーは、MF型バッテリーと完全密閉型バッテリーですが、開放型バッテリーの方が価格が安いので費用を安く抑えたい方は開放型バッテリーを選びましょう。
バッテリーの容量で蓄えれる電気の量が決まる
バッテリーの容量とは、バッテリーに蓄えれる電気の量のことで、容量(AhやWh)が大きいバッテリー程たくさんの電気を貯めることができ、たくさんの電気機器を長時間使うことができます。
太陽光発電で準備するバッテリーの容量がまだ決まっていない方は、どのくらいの容量のバッテリーでどのくらいの電気を使い続けることができるのかまずは知ることです。
太陽光発電で一般的に使われているバッテリーの性能が電圧12Vで20時間率容量が105Ahのディープサイクルバッテリーを例にしてバッテリーに蓄えられる全電力量を計算してみると、
電力量の計算
- 105Ah×12V=1260Wh
となるので、計算上は満充電時に消費電力が63Wの電気機器を20時間使用可能な電気を蓄えることができます。
※バッテリーの全電力量が1260Wあるので、1260Wの電気機器を1時間、252Wの電気機器を5時間、126Wの電気機器を10時間動かせるということではないので間違えないようにしてください。
バッテリーの性能の時間率容量とは、電流をある時間流し続けた時のバッテリーの全容量のことです。
例えば、60Ahで5時間率容量、10時間率容量、20時間率容量の3種類のバッテリーがあったら、
時間率容量の考え方
- 5時間率容量のバッテリーの場合:12Aの電流を5時間流し続けることができる
- 10時間率容量のバッテリーの場合:6Aの電流を10時間流し続けることができる
- 20時間率容量のバッテリーの場合:3Aの電流を20時間流し続けることができる
という性能を持っているバッテリーであるという意味です。
バッテリーの性能は時間率容量の違いで異なり、短時間で大きな電流を流すよりも長時間で小さな電流を流した方が、より長く電気を流すことができる特徴があります。上記の例でいうと20時間率容量のバッテリーで3Aの電流を20時間流せられないということなので、5時間率容量で表すよりも20時間率容量で表した方がバッテリーの使用時間は大きく表せれることができます。
また、バッテリーの充電時や電圧の変換時に損失が必ずあるので、電気機器を動かせる時間は先ほどの時間よりも短くなりますし、インバーターを通して直流の電気を交流100Vにすると5~20%程度の損失がでてしまうことを覚えておいてください。
なお、電気機器の消費電力を知りたい方は、電気機器の裏面のラベルや取り扱い説明書の仕様欄のワット数を見ればわかります。
以下に、家庭用の電気機器と12V自動車用の電気機器の消費電力の1例を挙げておきますので参考にしてください。
- 家庭用の電気機器の消費電力
- 5W:デジカメの充電
- 8W:スマホの充電
- 50W:19型液晶テレビ
- 100W:ノートパソコン
- 500W:小型の電気ストーブ
- 12V自動車用の電気機器の消費電力
- 5W:LED照明
- 10W:扇風機
- 50W:電気毛布
- 60W:保温・保冷庫
100Wのノートパソコンを12時間使うと、100W×12h=1200Whとなるので、夜間や曇りの日で充電できない状況の105Ahのバッテリーでぎりぎり動かせます。バッテリーの電気容量は小さいよりも大きい方がいいことがわかりますよね。
おすすめのバッテリー
太陽光発電で使うバッテリーの種類はいろいろありますが、ここでは、太陽光発電に適した過放電に強いおすすめのバッテリーを紹介します。
おすすめのバッテリー
商品名:ACDelco(エーシーデルコ) マリン用ディープサイクルバッテリー (Voyager) M27MF
自作した太陽光発電システムの定番バッテリーといえば、ACDelco(エーシーデルコ)のマリン用ディープサイクルバッテリーのボイジャーのM27MFです。
※車中泊用のサブバッテリーとしても人気があります。
公称電圧はDC12V、電気容量は105Ah(20時間率容量)、重量は約20kgです。
M27MFの大きな特徴は、普通の自動車用の鉛バッテリーよりも過放電に強いことです。
つまり、充電・放電を頻繁に繰り返している太陽光発電に適しているバッテリーということです。
重量が重たいことが難点ですが、それ以外は申し分ない性能を持っているバッテリーです。
(記事作成日:2017年10月11日、最終更新日:2021年8月20日)