ミネラルウォーターの基礎知識
ミネラルウォーターの種類
日本の水道水は塩素で殺菌消毒されているので世界的に見て飲んでも安全な水として有名ですよね。
しかし、その殺菌消毒する塩素が微量含まれているおかげで、
- 味が悪い
- 変な臭いがする
という理由で水道水は飲まずに市販されているミネラルウォーターを飲料水として飲んでいる方は多いと思います。
※特に都市部の水道水は味と臭い共に悪いです。
ミネラルウォーターはスーパーやコンビニなどでいろいろな銘柄が売られていてどれを購入したらいいのか悩みますね。
普段何気なく購入しているミネラルウォーターですが種類があることを知っていますか?
ミネラルウォーターのラベルに記載されている品名(水の種類)には農林水産省が作成したガイドラインにより、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターの4種類があります。
- ナチュラルウォーター
- 特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの
- ナチュラルミネラルウォーター
- ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水を原水としたもの
- ミネラルウォーター
- ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的の為にミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採取したナチュラルミネラルウォーターの混合などをしたもの
- ボトルドウォーター
- ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター以外のもの
このようにミネラルウォーターの品名は定義されています。
※品名は水のいい悪いを判断するものではありません。
一般的に販売されている日本の天然水といえば加熱殺菌されたナチュラルミネラルウォーターが多いですが、エビアンなどをはじめとした外国産(ヨーロッパ)のほとんどの天然水は加熱殺菌されず販売されています。
日本とヨーロッパでは水に対する考え方が異なるんです。
産地で違うミネラルウォーターの特徴
ミネラルウォーターはいろいろな種類が売られていますが、水の特徴はどれでも同じだと思っていませんか?
ミネラルウォーターは水源付近の地形や地層によってかなり特徴が異なってきます。
例えば、日本のミネラルウォーターとヨーロッパのミネラルウォーターを比べてみると次のようになります。
- 日本のミネラルウォーターの特徴
- 日本は起伏が激しい地形が多いので、雨が降ると水の流れが急になり地層に水がとどまる時間が短いのでミネラルの吸収が少なくなります。
よって、軟水のタイプの水が多いです。 - ヨーロッパのミネラルウォーターの特徴
- ヨーロッパは緩やかな地形が多いので、雨が降ると水の流れが緩やかになり地層に水がとどまる時間が長くなるのでミネラルを多く吸収します。
よって、硬水タイプの水が多いです。
また、地層によって水に溶け込むミネラルを比べてみると、
- 石灰岩:カルシウムが多い
- 玄武岩:カルシウムとマグネシウムの両方含まれるがマグネシウムの方が多い
- 花崗岩:カルシウムとマグネシウムの両方含まれるがカルシウムの方が多い
となります。
このように、地形や地層によって水に含まれるミネラルの量が違ってきますので、ミネラルウォーターを購入する時はどこで採水されたのかラベルを確認してみてください。
軟水と硬水の違いと水の選び方
ミネラルウォーターは地形や地層によって水に含まれるミネラルの量が違ってくると説明しましたが、このミネラルの量の違いで軟水(やわらかい水)、中軟水、硬水(かたい水)かに区別することができます。
軟水と硬水の違いは、水に含まれるミネラルのカルシウムとマグネシウムの量によって異なってきます。
よく使われる硬度の基準には、次のようにWHO(世界保健機関)が定めたものと日本が定めたものがあります。
- WHOが定めた硬度の基準
- 軟水:0~60mg/L未満
- 中軟水:60~120mg/L未満
- 硬水:120~180mg/L未満
- 超硬水:180mg/L以上
- 日本が独自に定めた硬度の基準
- 軟水:0~100mg/L
- 中硬水:101~300mg/L
- 硬水:301mg/L
このように、日本では硬度は3種類に分類されています。
そして、軟水と硬水の特徴は次のようになっています。
- 軟水の特徴
- 軟水はミネラル(カルシウムとマグネシウム)の含有量が少ないのでなめらかでさらっとして飲みやすいです。
- 適している用途:一般的な料理、紅茶やお茶、就寝前や起床した後の1杯
- 硬水の特徴
- 軟水はミネラル(カルシウムとマグネシウム)の含有量が多いので重たい舌触りで飲みにくいです。
しかし、ミネラルが多いので血管を強くして血液をさらさらにする働きがあります。
※腎臓が弱い人はマグネシウムを多く摂取すると内臓に負担が掛かりお腹を壊しやすくなります。 - 適している用途:ビーフシチューなどの煮込み料理や肉料理、日中の水分補給
- 軟水はミネラル(カルシウムとマグネシウム)の含有量が多いので重たい舌触りで飲みにくいです。
ミネラルウォーターを選ぶ時は、軟水、硬水どちらが良い悪いではなく、硬度を参考に選ぶことがとても大切です。
料理をする時は軟水、水分補給をする時は硬水というように目的に合わせて1回飲んでみて飲みやすい水を選んでください。
※日本で採水されているミネラルウォーターは軟水が多いです。
ミネラルウォーターのラベルには硬水か軟水かの表示がされていますので、購入する時はラベルを確認してみてください。
硬度の計算方法
水は硬水か軟水かの違いで性質が全くの別物であることがわかったと思いますが、硬度は水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量がわかれば次の計算式で求めることができます。
水の硬度[mg/L]=(カルシウム量[mg/L]×2.5)+(マグネシウム量[mg/L]×4.1)
ペットボトルのラベルには100mL当たりのカルシウムやマグネシウムの数値が書いてあります。 しかし、計算式には1リットル当たりのカルシウムやマグネシウムの数値を使いますので、ラベルに書いてある数値を10倍した値を計算式に当てはめて使ってください。
例えば、100mL当たりに含まれるカルシウムとマグネシウムの量が、
- カルシウム:1.2mg
- マグネシウム:0.6mg
と書かれてあったら、1.2と0.6の数値を10倍して計算式のカルシウムの量とマグネシウムの量のところに当てはめます。
式に当てはめると、
(12×2.5)+(6×4.1)=54.6mg/L
となり、硬度の数値を確認することができます。
カルシウムとマグネシウムの量から硬度が知りたい時は是非計算してみてください。
pHって何ですか?
ミネラルウォータを購入する時は硬度を見て選ぶことが重要だと説明してきましたが、ミネラルウォーターのラベルをよく見ると硬度の他にpH値という言葉も書かれています。
pH値ってあまり聞かない言葉ですね。いったい何の値でしょうか?
pHとは水の中の水素イオンの濃度のことで、この値もミネラルウォーターを選ぶ時に重要なものです。
pHは、0~14までの数値があり、数値の違いで水の性質が異なってきます。
pHを簡単に説明すると、
- 7より大きい値はアルカリ性に分類され、14は強アルカリ性
- 7は中性
- 7より小さい値は酸性に分類され、0は強酸性
を表しています。
もし、ラベルにpH値7.2と書かれていたら弱アルカリ性の水となります。
人間の体液は7.3~7.4の弱アルカリ性で一定に保たれていますが、尿のpHは飲み食いした後で大きく変動します。
※尿のpHの正常値は5~8です。この値を外れると病気になりやすくなるといわれています。
ですので、尿のpHを正常な値に保つ為にミネラルウォーターも弱アルカリ性かその値よりも大きい水を選んで飲むと体内に吸収されやすく新陳代謝が促進されるという良い効果があります。
一方、酸性の水はというと毎日大量に飲んでいると新陳代謝が悪くなる恐れがあるといわれていますし、何よりもpHの値が5.5より低い飲み物を飲むと歯の表面のエナメル質が溶けて虫歯になりやすくなるので、体や歯の健康を維持するならば、お茶やpH値7以上のミネラルウォーターを飲んでください。ジュースは酸性のものが多く糖分も多いので飲み過ぎには気をつけましょう。
※コーラはpH2、栄養ドリンクはpH3、スポーツドリンクはpH3.5くらいです。
(記事作成日:2016年8月8日、最終更新日:2017年8月22日)