化粧品に含まれる成分とその目的を理解する

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化粧品を安全に使う為の基礎知識

医薬品、医薬部外品、化粧品は何が違うの?

棚に並ぶ化粧品

私たちは、肌にうるおいを与えたりメイクをする時は化粧品を使うと思いますが、この化粧品とはどのような目的で作られているのか考えたことはあるでしょうか?

化粧品は、薬機法(2014年に薬事法から薬機法へ名称変更)によって分別されています。
薬機法とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの品質や有効性・安全性を確保する為の法律のことです。

医薬品
臨床試験を行いそのデータが厚生労働省から許可されたものです。
医師が処方する医療用医薬品とドラックストアなどで売られている一般用医薬品に分けられます。
医薬部外品
厚生労働省が指定したアレルギーを起こす可能性がある表示指定成分(102種類と香料)の表示義務はあるが、それ以外の成分の表示はメーカー側が任意で決めることができます。
化粧品
2001年の薬事法改正ですべての成分の表示が義務づけられています。
※配合量が多い成分から順に表示して1%以下の成分は順不同です。

医薬品、医薬部外品、化粧品について簡単に説明しましたが、この3つは一体何が違うのかというと、

  • 医薬品:診断・治療又は予防に使用されることを目的とされているもの
  • 医薬部外品・化粧品:人体に対する作用が緩和なもの

とされています。

ですので、化粧品は臨床試験が義務づけられているわけではないので、医薬品のように効能や効果は高くはないものと考えてください。

化粧品に含まれる合成化学物質とは

美容液

みなさんは、化粧品を選ぶ時はどのような基準で選んでいますか?

最近の流行りに流されたり、肌がきれいになるというようなキャッチフレーズを見れば購入したくなる気持ちはわかりますが、まず初めに化粧品に含まれている成分を見ることが大切です。

化粧品による肌のトラブルは多いので、過去に肌荒れを起こした化粧品の成分は必ずメモしておいてください。

違う化粧品を購入する時は、肌荒れを起こした成分が配合されていない又は配合量が少ない化粧品を購入するようにしましょう。もし、同じ成分が化粧品に入っていたら同じことの繰り返しになってしまいます。

最近の化粧品は天然素材を強調して作られているものも増えてきましたが、基本的にはほとんどの化粧品には合成化学物質が配合されています。

合成化学物質
化学的に分子構造を組み換えて合成した物質のことです。
合成化学物質といえば合成界面活性剤が有名で、水と油を混ぜる乳化作用の他に、洗浄、殺菌、泡立ちがよくなる作用もあります。
石油を原料として安価で作れるので、化粧品や日用品にも広く普及しています。
※自然界にはない物質なので大量に摂取すると人体に蓄積され害があるといわれています。

主に配合されている商品の例としては、

  • 化粧品:化粧水、メイク用化粧品、香水、日焼け止めクリーム
  • 日用品:ボディーソープ、洗顔クリーム、シャンプー、リンス、台所洗剤、洗濯洗剤、柔軟剤、消臭剤

などがあります。

合成化学物質が体内へ摂りこまれる経路は、口から食べる、鼻から呼吸する、皮膚から染み込むの3種類がありますが、化粧品や日用品に含まれる合成化学物質は皮膚から染み込んで体内に侵入する経路をたどります。

肌の奥まで浸透するようになった最近の化粧品

化粧水を塗る女性

皮膚の表面は、皮脂膜や角質層があるので太陽に当たっていても水分が蒸発しないし、海水の中にいても塩分を吸収しないし、細菌などが侵入しないようにバリアの役目や汗をかいて体温調整の役目もある大切なところです。

昔は肌の浅いところ(表皮の角質層)でとどまっていた化粧品の有効成分も、現在では肌の深いところ(基底膜・真皮)まで浸透できるようになりました。

有効成分を角質層よりも奥へ浸透させるには、角質細胞の隙間から染み込ませる方法と角質細胞そのものに染み込ませる方法があります。

合成界面活性剤を使うと角質細胞そのものに染み込んでいくので有効成分を届けるには効率がよい方法です。

皮膚の表面には元々、皮脂腺から脂分が分泌されて皮膚の表面を覆う皮脂膜という脂のバリアー機能(常在菌がいて外敵が侵入しないように守っている)がありますが、石油を原料にして作られた合成界面活性剤や溶解剤は脂を強力に溶かしてバリアーを壊し、さらに分子量が小さいので皮膚の奥へ浸透してしまいます。

分子量とは、物質に含まれる1分子当たりの原子の数のことです。
人の細胞は分子量が500を超える物質を通しにくい性質(異物を侵入させないバリアー機能)がありますが、乳化に使われるプロピレングリコール(PG)や合成界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウムなどは分子量が500以下なので肌の奥へと浸透させることができます。

有効成分が肌の奥まで届くようになれば化粧品の機能が100%発揮できるので大変素晴らしいことですが、乳化剤や合成界面活性剤は脂にも溶けるので皮膚の表面のバリアーを壊して、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、香料などの化粧品の品質を保つ為に配合されている肌に悪い成分も一緒に運ばれるようになります。

脂を溶かす力が強力な合成界面活性剤を肌につけてしまうと皮脂膜が必要以上に溶けてバリアー機能が失われ常在菌がいなくなり雑菌が悪さをしやすくなりますし、肌がカサカサになるというトラブルも同時に起きます。特に肌が弱い体質の方は気をつけましょう。

角質層は外から侵入しないようにバリアの役目をしていますが、手のひらや足の裏よりも顔の方が角質層が薄いので成分の吸収率がよいのです。
また、角質層が傷んで肌荒れを起こしていたら皮膚への浸透はさらにしやすくなります。

肌のふやけと荒れの違い
お風呂に長時間つかっていて肌がふやけているのは、お風呂から出ればすぐに元に戻りますね。
しかし、ファミレスなどで食器洗いのバイトをした経験がある人はわかると思いますが、食器洗いの洗剤が入ったお湯にふれていたら手の皮膚がカサカサになりひび割れが起きます。
それは、皮膚の表面の脂が合成界面活性剤によって必要以上にはがれた状態でバリアー機能が働かず保湿できなくなっているからです。

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化粧品を構成している主な成分

一般的な化粧品の成分とは

化粧品セット

化粧品はたくさんの種類の成分で構成されていて、成分の名前も長ったらしかったり、アルファベットで略語になっていたりして、化粧品のパッケージに書かれている配合されている成分を見ても何が何だかわからないですよね。

一般的な化粧品の主な成分は、水の他に次の5つだけです。

  • 肌の表面を覆う成分:油性成分
    (肌の表面に膜を張り乾燥から守る働き)
  • 水と油を混ぜる成分:合成界面活性剤などの乳化成分
    (油と水を混ぜて滑らかにする働き)
  • 腐らないようにする成分:防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤
    (雑菌の繁殖や酸化による品質低下を防ぐ働き)
  • 色や香りをつける成分:顔料、香料
    (化粧品の色や香りを楽しむもの)
  • 肌に良いとされる成分:ヒアルロン酸、コラーゲン、ホルモン剤など
    (有効成分といわれているもの)

そして、化粧品を肌につけたことにより刺激を受けて赤くはれたなどの肌のトラブルは、油性成分、合成界面活性剤、防腐剤、顔料(タール色素の赤色)、香料の化粧品の品質を保つ為に配合されている成分で起こることが多いです。

化粧品によって肌のトラブルに悩まされている人は、化粧品に配合されている成分と特徴を覚えてどれが原因なのか参考にしてください。

油性成分(肌の表面を覆う成分)

正常な肌の表面は皮脂で覆われて乾燥から守られているので、それと同じ状態にする為に油性成分を配合します。

一般的に用いられているものは、石油を蒸留精製した時の残りカスを塩素脱色して硫酸で処理した鉱物油です。
※別の言い方ではミネラルオイルともいいます。

石油から作られている鉱物油の流動パラフィンの他に、動物性のオイル(羊の毛から精製したラノリン)、植物性のオイル(ホホバの種子を搾ったホホバ油)などの天然素材のオイルもあります。

鉱物油も動物性・植物性油も肌をコーティングしますが通気性がないオイル(個々のオイルで通気性は異なる)を肌に塗ると皮脂や汗の分泌が阻害させて肌の新陳代謝に悪影響を与えたり毛穴に詰まって吹き出物ができたりします。
また、一般的に油性成分は、時間が経過すると過酸化脂質となり黒シミの原因になることがあるのでしっかり洗い落とさないと肌を傷めます。

天然だから良い、鉱物油だから悪いわけではないので自分に合ったオイルを探してください。

鉱物油で有名なオイル
  • 流動パラフィン:酸化しにくい、肌への刺激は弱い
  • ワセリン:酸化しやすい、肌への刺激は弱い、ワックス効果が強い

合成界面活性剤(水と油を混ぜる成分)

界面活性剤は水と油を混ぜる為に配合します。

界面活性剤の種類を大きく分けると、昔からある天然の界面活性剤と化学的の合成界面活性剤の2種類があります。

  • 天然の界面活性剤:石鹸といわれる脂肪酸ナトリウム(固形粉)・脂肪酸カリウム(液体)。大豆や卵黄からとれるレシチン、ヘチマからとれるサポニンなど
  • 合成界面活性剤:石油や食物油脂を原料として化学的に作ったもの。石油系は大量生産しやすく安い。石油系で有名な成分では、ラウリル硫酸ナトリウム、合成グリセリン

※合成界面活性剤は別の表示方法では、乳化剤、溶剤と書かれていることもあります。

また、界面活性剤は水に溶かした時の親油基の性質の違いにより、

  • 陽イオン系
  • 陰イオン系
  • 両イオン系
  • 非イオン系

の4種類に分かれ、特に刺激が強いのは陽イオン系です。

普通は水と油を混ぜただけでは、上側が油、下側が水に分離してしまいますが、そこに合成界面活性剤を加えると均一に混ざる(乳化する)ようになります。

合成界面活性剤は、油と水を混ぜる乳化の他に、

  • 湿潤作用:化粧品が乾燥しないようにする
  • 保湿作用:化粧品にうるおいを与え水分を長時間保つ
  • 分散作用:化粧品の様々な成分を均一に分散する

などの作用と、肌に良い有効成分を皮膚の奥(真皮)に浸透させて作用させる役目もあると同時に防腐剤や香料などの肌に悪い成分も一緒に肌の奥へと運ばれてしまいます。

皮膚の表面には、皮脂や古くなった角質、石鹸で洗顔している方は洗い落としきれなくて残った石鹸成分などがあり、それらをエサにして脂肪酸を作って皮膚環境を守る常在菌がいます。

しかし、合成界面活性剤で洗顔している方は洗顔で落としきれなかった合成界面活性剤が皮膚の表面に残っていても常在菌は食べてくれませんので、皮脂を奪って肌を乾燥させてしまい、そして、常在菌が急激に減って肌のトラブルが起きることもあります。

グリセリンとエタノールについて
ほとんどの化粧品には、グリセリンやエタノールという成分が使われていますね。

グリセリンは肌を保湿する目的で使われています。
グリセリンは化粧品の他にも医療品や食品など幅広く使われている成分で、石油から化学的に合成した合成グリセリンとヤシの実を原料として作った天然グリセリンがあります。
どちらがの方がいい悪いではないので、石油系が悪いイメージがあれば天然由来のグリセリンを使いましょう。

エタノールは、乳化作用、防腐作用、毛穴の引き締め作用が目的で使われています。

有名な合成界面活性剤と特徴
  • ラウリン酸ナトリウム:植物系、肌への刺激弱い
  • ラウリル硫酸ナトリウム:石油系、肌への刺激強い
  • ラウリル硫酸トリエタノールアミン:石油系、肌への刺激強い
  • ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリウム):石油系、肌への刺激強い
有名な乳化剤と特徴
  • プロピレングリコール(PG):肌への刺激あり
肌の保湿の役割がある成分
  • 多価アルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、グリセリンなど)
肌の湿潤の役割がある成分
  • 多価アルコール(プリピレングリコール、グリセリンなど)
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防腐剤(腐らないようにする成分)

油と水が混ざって乳化された化粧品は雑菌が繁殖しやすくなるので腐らずに長期間品質を保持する為に防腐剤や殺菌剤が微量配合してあります。
※肌を綺麗にする成分ではありません。

みなさんは、ほとんどの化粧品は未開封で3年間品質を保持できるように作ってあることをご存じですか?

なぜなら、薬機法により3年以上品質を保てる商品については使用期限も製造年月日も表示する義務がないからです。ほとんどの化粧品には使用期限も製造年月日も表示されていないので未開封で最低でも3年間は品質が保てるということです。

もし、防腐剤が入っていないと、化粧品は変色したり、腐って変な匂いがしたりして雑菌まみれの本来の機能を持たない化粧品となってしまいます。
その様な雑菌まみれの化粧品を肌に塗るのは大変危険なのです。

しかし、化粧品に含まれている微量の防腐剤が皮膚の細胞を傷つけてアレルギーになる人もいるので、防腐剤によって有効成分の効果が活かしきれていないのではともいわれています。

防腐剤の分野では、特にパラベンは歴史が古く、化粧品の他にも食品や医薬品など様々な分野で使われているので適量混ぜるなら安全な防腐剤とされています。

また、天然由来の防腐効果がある精油(エッセンシャルオイル)などは値段が高いですが、パラベンを使えば安く化粧品が作れるので現在でも広く使われています。

そんな使い勝手がいいパラベンですが、最近は防腐剤は肌に悪い成分と言われ始めパラベンを使わない化粧品(パラベンフリー)も販売されてきています。

ここで注意が必要なのですが、パラベンが入っていなければ防腐剤は使われていないということではありません。
なぜなら、パラベンフリーの化粧品でも使用期限などが表示されていないなら未開封で3年間は品質が保持できるので化粧品が腐らないようにパラベンの代替えとして何かしらの防腐剤が添加されていなければおかしいからです。
※本当に防腐剤が入っていないのならばすぐに雑菌だらけになります。

パラベンフリーの化粧品で使われているパラベンの代替えとしての防腐剤はフェノキシエタノールが有名です。
また、パラベンとフェノキシエタノールの両方の成分を使っている化粧品もあります。

天然由来の成分はどうかというと、ヒノキ油やヒバ油からとれるヒノキチオールは安全な成分といわれていますが合わない人には全く合わないので、人によっては、赤くなる、かゆくなる、ヒリヒリするなど肌に刺激を与える要因になります。
※原料を保存する段階でパラベンが含まれていることもあります。

無添加の表示があっても実際は無添加ではなかったり、合成化学物質でも天然由来なものでも雑菌を殺すことが目的なので肌への刺激はあることを覚えておきましょう。

有名な防腐剤と特徴
  • パラベン(メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)パラオキシ安息香酸エステルと書かれている場合もあります:肌への刺激は弱い
  • フェノキシエタノール:配合する量が多くなるのでパラベンより肌への刺激は強い
  • 安息香酸塩:肌への刺激は弱い
  • ソルビン酸塩:肌への刺激は強い

酸化防止剤(酸化しないようにする成分)

化粧品の油分が空気にふれると酸化して品質が落ちるので酸化を抑える為に配合されています。
※ビタミンCやビタミンEは毒性はありませんが、それ以外の酸化防止剤は肌がよくなる成分ではありません。

有名な酸化防止剤と特徴
  • ビタミンC、ビタミンE:無害
  • ブチルヒドロキシトルエン(BHT):肌への刺激は強い、肌への毒性あり
  • ブチルヒドロキシアニソール(BHA):肌への刺激は弱い、肌への毒性あり

酸化防止剤の他に、ミネラル分による商品の品質の低下を抑える為に、肌への刺激が強いエデト酸塩(EDTA)といわれる金属イオン封鎖剤を配合してある化粧品もあります。

顔料(色をつける成分)

化粧水や口紅などに色をつける為に配合されています。
※肌がよくなる成分ではありません。

顔料(着色料)には、有機物を含まない無機顔料、石油タールから作られたタール色素(有機顔料)、天然素材から作られた天然色素の3つがあります。

無機顔料
天然鉱物や化学合成して作られます。
有機顔料
石油から人工的に合成され作られたもので、一般的にはタール色素といわれています。
表示の仕方は、赤色○○号とパッケージに記載されています。
黒いしみができたり発がん性があるとも指摘されていて、特に、アゾ系色素、キサンチン系色素は毒性が強いようです。
天然色素
動物や植物から抽出されるものです。

香料(香りをつける成分)

化粧品に香りをつけて香りを楽しむ為に配合されています。
※肌がよくなる成分ではありません。

企業秘密のため成分表には香料としか書かれていませんが、石油を原料として化学的に合成した合成香料と植物から抽出した天然香料があります。

香料の香りで心が落ち着きリラックスする人もいますが、合成香料でも天然香料でもアレルギーになる人もいるので気をつけましょう。

有効成分(肌に良いとされる成分)

美白にする、保水力をアップさせる、メラニンの生成を抑える、老化を抑えるなどの効果が期待できる成分が配合されています。

但し、化粧品は人体に対する作用が緩和なものとされているので劇的な肌の変化は期待しない方がいいでしょう。

有名な有効成分と期待できる効果
  • ヒアルロン酸、コラーゲン:肌に潤いを与えて保湿する
  • ビタミンC誘導体:しみやしわを抑える、コラーゲンの合成を促す
  • ホルモン剤:皮膚の老化を抑える

(記事作成日:2016年12月4日、最終更新日:2017‎年‎12‎月13‎日)

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