憧れの美肌は誰でも成れる
美肌にするには何が必要?
世の中の多くの女性は、少しでも肌を美しく保持しようと考えています。
そして、現代では、美肌に関する情報は様々な媒体から簡単に手に入れることができる時代でもあります。
例えば、
- 美肌に関したテレビ番組で見たことを試す
- 雑誌の記事の美肌の特集を試す
- 肌が綺麗な女優が使っている化粧品を試す
- 美肌の講演会に出席して情報を得る
など、あの手この手を試して試行錯誤しているのではないでしょうか?
いろいろ試しては見たものの、肌の調子は何も変わらなかったり、肌の調子が余計に悪化してしまっては試した意味がなく時間の無駄ですよね。
化粧品を使うにしても自分の肌に合っているのかいないのかという問題があり、誰にでも同じように肌が綺麗になる機能が働くわけではありません。
お店で売られている化粧品の種類の中から自分の肌に合ったものを選ばなければいけません。
いろいろ試したけど効果はなかったという人は、あの手この手のテクニックを試す前に皮膚の仕組みを理解してください。
皮膚の仕組みがわからなければ肌に対して何をしていいのかわからないですよね。
まずは、皮膚の根本的な原理原則を覚えることから美肌は始まります。
肌荒れがひどい人では、肌の状態を良くするには保湿して潤いを与えることです。
保湿を徹底することで理想の肌に近づきます。
肌荒れは、日頃のストレスや不規則な生活習慣が原因で起きたりもするので、化粧品で保湿しても改善しないという人は、毎日の生活習慣を見直してください。
また、欲張ってむやみやたらにいろいろな化粧品を試しても効果が実感できないことの方が多いので、水分で潤っていてかさつきなく滑らかで、その上、弾力と張りもある美しい肌にするにはどうしたらいいのか考えてみましょう。
皮膚の仕組みと働き
角質層を保湿して整えることは美肌の基本
人間の皮膚は脳や心臓などと同じ臓器で、表皮(ひょうひ)、真皮(しんぴ)、皮下組織(ひかそしき)の3層に分かれています。
※皮膚とは、表皮、真皮、皮下組織、汗腺、脂腺、乳腺、爪、毛を合わせた総称のことです。
表皮は皮膚の一番外側にあり、角質層(かくしつそう)、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)に分かれており、表皮の中で一番外側は角質層、一番内側は基底層で、表皮と真皮の境目にあるものが基底膜になります。
表皮の下は真皮で、血管、神経、汗腺、皮脂腺があります。一番下は皮下組織で、大部分は脂肪を含んでいて動脈・静脈という太い血管があります。
表皮の厚さは0.2mm程で非常に薄く、角質層は0.01mm程度しかありませんが、表皮の中の20%程の水分を含んでいて細菌などの外敵から身を守り、肌を乾燥させないように大事な働きをしています。
基底層では、ケラチノサイトが毎日細胞分裂を繰り返して、1つの細胞が2つに分かれたどちらかが平らの角化細胞となり、徐々に外側に移動して角質細胞となり20枚程重なって角質層を作っています。
角質細胞は絶えず古いものから新しいものへと入れ替わり、基底層で生まれて角質層に移動してはがれ落ちるまでの期間は平均して28日間かかります。このサイクルを皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)といい、はがれ落ちた角片はフケや垢となるので洗わないと皮膚の表面に溜まっていきます。
皮膚の新陳代謝の1サイクルは28日間で常に繰り返していますが、加齢や生活習慣の乱れでこのサイクルが崩れると皮膚が乾燥して硬くなったり、ざらついたり、色がくすむなどの肌に悪い症状が現れます。
※基底膜に紫外線が当たるとしみの原因にもなります。
真皮は、ヒアルロン酸などの基質というゼリー状のような物質で満たされ、そこにコラーゲン線維(膠原線維)とエラスチン線維(弾力繊維)があり、弾力と水分を保持して表皮を支えています。
※老化で水分量が減り弾力が落ちるとしわの原因になります。
皮下組織は、大部分が皮下脂肪なので脂肪としてエネルギーを蓄える場所として使われ、その他には、クッション材として外部の力から体内を守ったり、体温を保ち寒さから守ったりします。
では、角質層の水分は乾燥からどのように守られているのかというと、皮脂腺から分泌される皮脂は常在菌がエサとして脂肪酸や乳化剤に分解され、汗腺から分泌される汗と混ざり皮脂膜となり角質層の表面を覆い肌が乾燥しないようにしています。
ですので、美肌にするには角質層をしっかり保湿して乾燥させないようにすることが求められます。
角質層の保水力は20歳前半がピーク
女性はいつまでも美しい肌でいたいと望んでいますが、人間の皮膚の細胞活性は20歳前半がピークとなり、そして、皮脂の分泌が活発なのでニキビが多く現れる時期でもあります。
しかし、その時期を過ぎると分泌される皮脂量は少なくなってくるのでニキビは減ってきますが、皮脂が減るということは皮膚の乾燥にもつながってきます。
例えば、
- 真皮のコラーゲンなどの線維成分が減少
- 肌のターンオーバーが遅くなる
- 角質層の保水力が落ちる
などで、しだいに肌は衰えて、しわ、しみ、乾燥が目立つようになってきます。
では、角質層のうるおいは主に何の成分で成り立っているのかというと、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質、皮脂膜です。
- 天然保湿因子(NMF)
- たんぱく質が分解されたもので、アミノ酸、尿素、ナトリウムなどの成分です。保湿する役割を持っています。
- 角質細胞間脂質
- セラミド、コレステロール、脂肪酸などでできていて、角質層をしっかりくっつけたり、皮膚の内部の水分の蒸発を防ぐ役割を持っています。
- 皮脂膜
- 皮膚の表面の汗と皮脂が混ざり合って皮脂膜を張って、乾燥、刺激、雑菌などの外敵から肌を守り、天然の保湿クリームの役割を持っています。但し、皮脂が多いとニキビの原因になります。
角質層は、これらの成分のおかげで肌を健康な状態に保っていますが、老化により成分が減少して肌は衰えてきます。
もし、乾燥して角質層の保水力が落ちると角質細胞が縮み細胞間に隙間ができ、この隙間から水分が蒸発してしまいます。
そして、表皮が乾燥して硬くなるとターンオーバーが正常に行えなくなるので、メラニンの排出ができなくなりしみや小じわもできるようになります。
このように、肌が乾燥するということは、肌にとって非常に悪いことであることを認識しましょう。
正しいスキンケアをするには、肌がカサカサなのは表皮の保水力が不足しているから、肌にしわがあるのは真皮の弾力が減ったからなど、因果関係は何であるかを自分で説明できるくらいに知識を身につければ美肌に近づきます。
肌を健康な状態にするには、表皮と真皮に働き掛けて、みずみずしさとはりがなくなってしわやしみが増えないようにしなければいけません。
年を重ねていっても乾燥しないように保湿をすればうるおったきめ細かい肌になります。
肌の状態は、老化の他に、普段の生活環境(ストレス、睡眠不足、不規則な食生活など)で変わるので少しでも心当たりがある方は規則正しい生活に変えるように心がけましょう。
肌をきれいにするには
肌の状態は1年中同じではありません。
気温、湿度、紫外線、生活習慣などが違えば、カサつくこともあればべたつくこともあります。
その時の肌の状態で肌をケアする方法を考えてみましょう。
夏と冬の肌ケア
春と秋は過ごしやすい気温と湿度なので、肌の状態は比較的安定していると思いますが、夏は肌がべたつき、冬は肌が乾燥することに悩まされている人は多くいるのではないでしょうか。
夏は、気温と湿度が高く1年の中で肌が一番べたつく季節です。
皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗は、1年で一番多いので皮脂膜によりバリアが張られ皮膚の乾燥は抑えられていますが、毛穴には古くなった皮脂が酸化して過酸化脂質となり、皮脂をエサとしている悪玉菌も増えます。
また、空気中の酸化物や洗顔で落ちなかったメイクの残りが肌についていると、酸化物はダニや菌のエサとなり繁殖するので、きれいに肌を洗わないと吹き出物ができたりします。
夏は、肌がべたつく他に吹き出物ができ、紫外線が強い影響でシミができる季節なので、洗顔をしっかり行い余分な皮脂を洗い流して保湿し、紫外線対策も行いましょう。
- 洗顔時の注意事項
- 夏は、過剰に分泌された皮脂や古い角質が詰まってできる角栓で毛穴が開きやすいです。洗顔は毎日しましょう。
- 肌をゴシゴシと強く洗うと摩擦で角質層にキズがつくので、キズをつけないようにやさしく洗ってください。
※皮脂膜をすべて洗い落すと角質層が水分を保てなくなるので洗いすぎに注意すること。
冬は気温と湿度が低く1年の中で一番乾燥する季節です。
皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗は夏に比べると少ないので角質層は乾燥するので、しっかり保湿をしましょう。
最近では、毎日エアコンを使うので暖房の影響で室内の湿度はさらに下がり空気が乾燥しがちになります。加湿器を使うなどして湿度が下がらないようにしましょう。
紫外線はシミやシワの原因になる
シミとは、皮膚にできたメラニン色素のかたまり(色素沈着)のことです。
表皮の基底層には、メラノサイト(色素細胞)があり、メラノサイトに紫外線や炎症などで刺激が加えられると、チロシナーゼという酵素が増えるためメラニン色素ができます。
メラニン色素は肌の新陳代謝で排泄されますが、メラニンがたくさん作られると排泄が間に合わなくなるのでシミが残るようになります。
年齢を重ねるとシミが目立つようになるのは、メラノサイトが活性化して肌の新陳代謝が衰えてきたからです。
メラニンが表皮のどこかでにとどまっていれば肌の新陳代謝でシミが薄くなりますが、表皮と真皮の境目にある基底膜がところどころ壊れてメラニンが真皮に落ちると消えないシミとなってしまいます。
では、シワはどうかというと、真皮のコラーゲンは作られては分解されてを繰り返していて、皮膚が傷ついたり強い紫外線にあたるとコラーゲンの分解が促進してコラーゲンを作るのが間に合わなくなりコラーゲンの量が減る事態が起こります。
コラーゲンが減り真皮の弾力が落ちると、基底膜がたわんでシワができるので、結果として皮膚の表面もシワになります。
ですので、角質層が乾燥して小じわができたなら保水すれば改善しますが、真皮のコラーゲンの問題でシワができたなら保水しただけでは治りません。
※角質層では、古い角質ははがれ落ちて新しい角質に変わる肌のターンオーバーを繰り返しているので、表皮にあったシミは古い角質と共に排出されます。
しかし、シミもシワも基底膜がしっかりしていれば、メラニンが真皮に到達することはないので、大きなシミやシワにはならず肌のターンオーバーで解決できます。
基底膜を強める成分としては、イソフラボン、酵母エキス、植物エキスが有名です。
基底膜を強めて、シミやシワに悩まされない美しい肌を保持しましょう。
紫外線対策をして日焼けを防ぐ
紫外線とは、波長が400nm以下の光のことをいいます。
太陽の光には紫外線が含まれていて、紫外線は波長の長さの違いにより、
- A波(UV-A):315~400nmの長波長紫外線のことです。
- B波(UV-B):280~315nmの中波長紫外線のことです。
- C波(UV-C):100~280nmの短波長紫外線のことです。
の3種類に分けられ、C波はオゾン層で吸収されるので、地上に届くのはA波とB波になります。
- A波の特徴
- A波は肌の奥の真皮まで到達してコラーゲン線維やエラスチン線維を攻撃して、ハリや弾力が衰えてしわやたるみを作ります。
肌はやけどをしませんが赤くなり、皮膚を黒くするサンタンの原因となります。 - A波は、雲も通り抜けるので曇りや雨の日でも浴びます。
また、ガラスも通り抜ける性質があり室内の窓の近くにいても浴びるので注意が必要です。 - B波の特徴
- B波は真皮まで届きませんが数日後に色素沈着して肌が黒くなり、蓄積していくと角質層にしみを作る原因となります。
B波の日焼は、皮膚が赤くなりひどい時はやけどで水ぶくれをしたサンバーンの状態となり皮膚がんの原因になります。
紫外線量は春~夏のお昼頃が最も多く直接浴びる他にも、何かに反射して浴びることもあります。
例えば、アスファルトの反射率は1割ですが、雪での反射率は8割ですので、冬の季節で雪が積もっている晴れた日では日焼け対策が必要です。
結局、A波もB波も浴びればしみの原因となります。
直接浴びる紫外線は帽子や日傘で防ぐことができますが、反射した紫外線は防げないので日焼け止めを塗って防ぎましょう。
※汗で日焼け止めが落ちるので効果を持続させるには数時間ごとに塗ること。
日焼け止めで紫外線をカットする基準はSPF値とPA値があります。
SPF値とは、UV-B(B波)をカットする値のことで、数値は50まであります。
※数値が大きい程、サンバーンを防ぐ効果が大きくなります。
例えば、SPF10と書かれていれば20分で肌が赤くなる肌質の方は200分、SPF20では400分肌が赤くなるのを引き延ばせます。
※SPFの数値1当たりでサンバーンを20分防ぐ目安です。
PA値とは、UV-A(A波)をカットする値のことで、+、++、+++、++++の4段階があります。
※+の数が多い程効果が高くなります。
PA値の表示の意味としては、次のように塗らない時より塗った方がUV-Aによる色素沈着を防ぐ時間を延ばす効果があるとされています。
- +:2倍延ばせる
- ++:4倍延ばせる
- +++:8倍延ばせる
- ++++:16倍以上延ばせる
また、日焼け止めには、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤があります。
※紫外線散乱剤とは紫外線を跳ね返すもの、紫外線吸収剤とは紫外線を吸収するものです。
紫外線散乱剤は無機系で微粒子の酸化チタンや酸化亜鉛なので皮膚への負担は少ないですが、紫外線吸収剤は有機系溶剤が使われていることが多く肌への刺激が強く肌あれの原因になります。
SPF50・PA++++というような強力な日焼け止めを塗るのは皮膚によくないので、
- SPF20~30
- PA++
くらいを目安とするのがいいでしょう。
また、肌が弱い方は、紫外線吸収材が含まれていないノンケミカルや天然由来の成分が配合されているものがおすすめです。
ストレスを極力少なくする
ストレスを感じると体内の活性酸素が増えることは、テレビの健康番組などを見てみなさんご存知かと思います。
ストレスを感じると副腎皮質ホルモンを分泌してブドウ糖を作り、不要な糖はたんぱく質と反応して副腎皮質ホルモンの役目が終わると活性酸素が作られます。
※副腎皮質ホルモンとは、環境の変化に対応して体内の状態を一定に保とうとする働きをするものです。
活性酸素は体内に侵入する外敵を攻撃する為に必要ですが、過剰に増えすぎると細胞を老化させ、しみ、しわ、たるみなどのあらゆる肌のトラブルを引き起こす原因となります。
肌にストレスを与えないようにするには、
- 睡眠不足の生活を止める
- バランスのよい食事を摂る
- 悩みを抱え込まない
- リラックスできる時間を作る
- 休日は趣味に没頭して気分転換する
ことです。
肌の新陳代謝は午後10時から午前2時の間は活発になるので、徹夜は止めてその時間帯は寝ていた方がいいです。そして、毎日決まった時間に起きるようにするとストレスのない健康な生活が送れるようになります。
また、カップラーメン、ハンバーガー、脂っこい弁当ばかりといった偏った食事は止めて、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養をバランスよく摂るようにしてください。
※どうしても脂っこいものを食べたい時は少し量を減らして、野菜や魚と一緒に食べるのが健康にいい食事です。
その他の方法では、抗酸化作用があるビタミンCを積極的に摂ることです。
ビタミンCはコラーゲンの合成にも使われメラニンの生成を抑える効果があり、活性酸素を抑える働きもします。
また、ビタミンEも抗酸化作用があるので活性酸素を減らすにはいいでしょう。
いろいろなストレスがありますが、睡眠不足によるストレス、食事によるストレスなど不規則な生活習慣を見直して健康な肌を取り戻しましょう。
(記事作成日:2016年11月29日、最終更新日:2017年12月13日)