野菜栽培に適した土のpHの基礎知識!pHの違いで野菜の生長が変わる
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- プランター栽培で使う土のpH(酸度)の特性とpH値の確認方法がわかるようになること
- 目次
- 1.土のpH(酸度)の基礎知識
- 土のpH(酸度)を適正値に調整すると野菜の生育が良くなるってホント?
- 土のpHを適性値に改善する方法
- 2.土のpH値を確認する方法
- 土壌酸度計を使って確認する方法
- pH試験液を使って確認する方法
- pH試験紙を使って確認する方法
1.土のpH(酸度)の基礎知識
家庭菜園を始めたばかりの頃は何気なく野菜を育てている方が多いと思いますが、野菜が健全に育つにはその野菜に適した土壌のpH値に調整しなければいけません。
野菜を健全に育てる為に土壌のpHの知識とpH値の確認方法を身につけましょう。
土のpH(酸度)を適正値に調整すると野菜の生育が良くなるってホント?
野菜を育てる時は、水はけ、保水性、通気性、肥料持ちのバランスが良い土の他に、pH(ピーエイチ、ペーハー)といって土の酸度を気にしなければいけないことをご存じでしょうか。
pHとは水素イオンの濃度を表す物理量のことで、pHの値は0~14まであり、
pHの数値の意味
- pH0:強酸性
- pH7:中性
- pH14:強アルカリ性
として表されます。
pH0は水素イオンが多く、pH14は水素イオンが少ない状態のことです。
日本は雨が多いのでpH調整してある市販の培養土を入れたプランターを屋外に置いておくと、アルカリ性の物質であるカルシウムやマグネシウムが流されてしまい、土のpHは酸性(pH6.0よりも下)の方向に傾いていきます。
また、窒素成分が多い化学肥料を与え過ぎても土のpHは酸性の方に傾いていきます。
多くの野菜は酸性の土(pH6.0より下)では、野菜が利用しやすい有効態リン酸よりも利用しにくい難溶性リン酸の方が増えたり、微量要素が減少したり、微生物の活動が低下して野菜の生長が著しく悪くなりますし、それとは逆にアルカリ性(pH7.0より上)の土でも野菜の生育は悪くなるので気をつけてください。
つまり、野菜が健全に育つ為に適した土の酸度はpH6.0~6.5の弱酸性の土で野菜はすくすく育っていくということを覚えておいてください。
但し、次のように一部の野菜では土のpH値は例外となります。
一般的なpH値を好まない野菜
- ジャガイモやサツマイモ:酸性付近(pH5.5~6.0)を好む
- エダマメやホウレンソウ:中性付近(pH6.5~7.0)を好む
したがって、野菜栽培をする時に土のpHを管理することはとても重要なことなので、育てる野菜に対応したpHの値(pH5.5~6.0、pH6.0~6.5、pH6.5~7.0)となるように事前に調整するようにしましょう。
土のpHを適性値に改善する方法
土のpHが適性値でないと野菜の根っこからの肥料の吸収が悪くなることがわかったと思いますが、どのようにして土のpHを改善すればいいのか考えてみましょう。
そもそも、土のpHが酸性に傾く主な原因は何かというと、空気中の窒素酸化物(硝酸)や硫黄酸化物(硫酸)が溶け込んだ酸性雨の影響ではなく、アルカリ性の物質であるカルシウムやマグネシウムの量が減ったことにより起こります。
土の中のカルシウムとマグネシウムの量が少ない状態ということは、カルシウムとマグネシウムを土の中に投入してアルカリ分を補えば酸性の土は中性付近まで改善できると思いませんか。
土のpHを適性値に改善する方法は、石灰質肥料である炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが主成分の苦土石灰を土に混ぜ合わせて行うことが一般的です。
- 新品の培養土を使う場合
- 新品の培養土のpH値は弱酸性から中性付近(pH6.0~7.0)に調整されているのでそのまま使ってください。
- 1回野菜を栽培した土を再利用する場合
- 1回野菜を栽培した土は酸性に傾いていますので、土を再利用する時は苦土石灰を土の表面がうっすら白くなるくらい撒いて土に混ぜ込みpHを弱酸性(pH6.0~6.5)に調整してください。
苦土石灰を少し混ぜると酸性の土が弱酸性の土へ、さらに多く混ぜると中性付近まで変化します。野菜に応じて土に混ぜる苦土石灰の量を変えてください。
また、家庭菜園で使われている石灰質肥料の種類としては、苦土石灰の他に有機石灰があります。
有機石灰は、カキ、ホタテ、カニなどの殻を粉々にして作ったもので、酸性土壌を中和する目的の他には、ミネラルや微量要素を補給したり病気を抑える効果も期待できます。特に、カニ殻はキチン質が豊富に含まれているので、放線菌を増やし病原菌を抑える効果があります。
但し、有機石灰は苦土石灰よりもアルカリ分が少ないので、土のpHの値を大きく上昇させたい時は苦土石灰の方が向いています。
苦土石灰も有機石灰も石灰質肥料なのでpHの改善が可能です。好みに応じて使い分けてください。
2.土のpH値を確認する方法
多くの野菜はpH6.0~6.5の弱酸性を好んで大きく生長していると言われると、今まで何も考えずに使いまわして野菜を育ててきた土のpH値が気になり出しますよね。
土壌のpHの数値を目で見える形で確認するには、
pHの確認で使うもの
- 土壌酸度計:価格は高い
- pH試験液:価格は安い
- pH試験紙:価格は安い
を使う3つの方法があります。
pHを簡単に測定できるのは土壌酸度計を使う方法ですが予算に応じて選んでください。
土壌酸度計を使って確認する方法
土壌酸度計は自動でpHを測定してくれるので手間が掛からないありがたい計器です。
使い方は、土が湿った状態で酸度計の先端の金属部分を土に突き刺して計器にpH値が表示されるまで待ち、計器に表示されたらその数値で判断します。
土壌酸度計は、土に刺し込むだけの簡単作業なので手を汚さずに誰でも測定が可能です。
おすすめの土壌酸度計
商品名:シンワ測定 土壌酸度計 A 72724
シンワ測定の土壌酸度計 [A72724]は、電池が不要の土壌酸度計で、先端の金属部分を土に突き刺すだけで土壌のpHの値を簡単に測定することができます。
A72724の使い方は、土が湿っている状態にしてから計器の先端の金属部分を目が細かい紙ヤスリで少し磨いてから土に突き刺すのが上手に測定するコツです。
野菜栽培の準備を始める時は、土壌のpH(酸度)を適切に調整する目安として土壌酸度計をぜひ使ってみてください。
pH試験液を使って確認する方法
pH試験液を使って確認する場合は、容器の中で土と蒸留水(水道水でもよい)を1:2の体積の割合で入れかき混ぜて土が沈殿するのを待ちます。
※土が50mlならば水は100ml入れて混ぜます。
土が沈殿したら上の方の水を試験管に移し試験液を数滴垂らした時の色の変化で判断します。
色の変化と酸度のカラーチャートを使って色が一致するところを見つけ酸度を判断します。
おすすめのpH試験液
商品名:住友化学園芸 アースチェック 5ml
住友化学園芸のアースチェックは、土壌のpH値を確認する為の液体タイプの酸度測定液です。
使い方は、測定したい場所の用土を容器にいれて水とよく混ぜ合わせます。
しばらく待って上澄み液の濁りがなくなってきたら、専用の測定容器に上澄み液と測定液を入れて蓋をしてよく振ります。
上澄み液の色が変わったら付属のカラーチャートで照らし合わせてpH値を判断します。
pH試験紙を使って確認する方法
pH試験紙を使って確認する場合は、容器に土と蒸留水(水道水でもよい)を1:2の体積の割合で入れ馴染ませます。
※土が50mlならば水は100ml入れて混ぜます。
その後に、pH試験紙を浸して紙の色が変化した時の色を見て判断します。
色が変化した試験紙と酸度のカラーチャートの一覧を使って色を比べ合わせ、色が一致するところの酸度を判断します。
(記事作成日:2017年11月2日、最終更新日:2023年3月29日)