日本の温泉の分類方法と10種類ある泉質の特徴
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- 日本の温泉の分類の仕方がわかるようになること
- 目次
- 1.温泉の分類方法
- 温度で分類する方法
- 液性(pH)で分類する方法
- 浸透圧で分類する方法
- 化学成分で分類する方法
- 2.温泉を泉質で分類する方法
- 単純温泉
- 二酸化炭素泉
- 炭酸水素塩泉
- 塩化物泉
- 硫酸塩泉
- 含鉄泉
- 硫黄泉
- 酸性泉
- 含よう素泉
- 放射能泉
1.温泉の分類方法
温泉と一口でいっても、熱い温泉、冷たい温泉、ぬるぬるした温泉、さっぱりした温泉、赤色の温泉、白色の温泉など実に様々な種類があります。
温泉の分類方法は、温度、液性(pH)、浸透圧、化学成分で分類されており、どの温泉でも温泉の湧き出し口で測定して、どのような温泉なのかを温泉分析書に記入して脱衣所などに掲示されています。
温度で分類する方法
温泉を温度で分類する場合は、源泉の湧き出し口で測定した地下水の水温により、冷鉱泉、低温泉、温泉(普通泉)、高温泉の4種類があります。
温度で分類した温泉の種類
- 冷鉱泉:25℃未満
- 低温泉:25~34℃未満
- 温泉(普通泉):34~42℃未満
- 高温泉:42℃以上
多くの温泉では、源泉の湯温が低い場合は加温、湯温が高い場合は加水して、浴槽の湯が丁度良い湯加減になるように調整しています。
液性(pH)で分類する方法
温泉を液性(pH)で分類する場合は、源泉の湧き出し口で測定した地下水のpHの値により、酸性泉、弱酸性泉、中性泉、弱アルカリ泉、アルカリ泉の5種類があります。
pH(ピーエッチ)とは、水溶液中の水素イオン濃度のことで、0~14の数値で酸性なのか中性なのかアルカリ性なのかを表した指標です。
※pH7は中性、pH7よりも数値が小さいと酸性、pH7よりも数値が大きいとアルカリ性です。酸性の温泉はなめると酸っぱく、アルカリ性の温泉はなめると苦いです。
pHで分類した温泉の種類
- 酸性泉:pH3未満
- 弱酸性泉:pH3~6未満
- 中性泉:pH6~7.5未満
- 弱アルカリ泉:pH7.5~8.5未満
- アルカリ泉:pH8.5以上
一般的には、アルカリ性泉は肌がつるつるになり美肌効果、酸性泉は殺菌作用により皮膚病に効果があるといわれています。
浸透圧で分類する方法
温泉を浸透圧で分類する場合は、低張性泉、等張性泉、高張性泉の3種類があります。
浸透圧で分類した温泉の種類
- 低張性泉:温泉1kg当たりの溶存物質の総量が8g未満
- 等張性泉:温泉1kg当たりの溶存物質の総量が8g以上10g未満
- 高張性泉:温泉1kg当たりの溶存物質の総量が10g以上
溶存物質とは、温泉に溶けている化学成分のことです。
化学成分で分類する方法
温泉を化学成分で分類する場合は、温泉1kg当たりに溶け込んでいる溶存物質の総量の違いで、塩類泉、単純泉、療養泉の3種類があります。
化学成分で分類した温泉の種類
- 塩類泉:温泉1kg当たりの溶存物質総量が1g以上
- 単純泉:温泉1kg当たりの溶存物質総量が1g以下
- 療養泉:特殊成分を含んだ温泉
2.温泉を泉質で分類する方法
温泉を化学成分の含有量で分類した、塩類泉、単純泉、療養泉を細かく分類すると、単純温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、含よう素泉、放射能泉の10種類の泉質に分けられます。
温泉の泉質名は温泉に溶け込んでいる成分によって決まるので、泉質の名称の違いがわかればどのような成分が多く含まれている温泉なのか想像できるようになります。
温泉を選ぶ時は知名度や人気度で選ぶのではなく、温泉の泉質で選べば自分が思い描いている目的の泉質の温泉に辿り着くことができます。
単純温泉
単純温泉とは、温泉1kg当たりに含まれる溶存物質量(ガス性のものを除く)が1g未満で、湧き出し口の湯温が25℃以上の温泉のことです。
単純温泉には様々な成分が含まれていますが、肌への刺激が少ないので肌が弱い人や湯あたりしやすい人でも入浴しやすいのが特徴です。
日本の温泉の中では数が一番多い一般的な泉質なので、泉質のことを知らずに温泉に行くと単純温泉のことが多いです。
- 日本全国の単純温泉
- 道後温泉、下呂温泉、由布院温泉、川治温泉、北温泉、板室温泉、中川温泉、観音温泉、駒の湯温泉など
- 単純温泉の適応症
- 入浴:自律神経不安定症、不眠症など
- 飲用:特になし
二酸化炭素泉
二酸化炭素泉とは、温泉1kg当たり1g以上の遊雛炭酸(二酸化炭素)を含む温泉のことです。
温泉中に二酸化炭素が溶け込んでいるので、入浴すると皮膚に細かい気泡が付着し血行が良くなります。
また、熱い温泉ではなくぬるい温泉でも保温効果が得られるので心臓への負担は少ないです。
- 日本全国の二酸化炭素泉
- 長湯温泉、有馬温泉、肘折温泉など
- 二酸化炭素泉の適応症
- 入浴:きりきず、やけど、自律神経不安定症など
- 飲用:胃腸機能低下など
炭酸水素塩泉
炭酸水素塩泉とは、温泉1kg当たりに含まれる溶存物質量(ガス性のものを除く)が1g以上で、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの温泉のことです。
主成分である陰イオンの炭酸水素イオンと結びつく陽イオンの種類によって、ナトリウム炭酸水素塩泉、マグネシウム炭酸水素塩泉、カルシウム炭酸水素塩泉などに分かれます。
炭酸水素塩泉はpHがアルカリ性に傾いている温泉なので、湯触りはぬるぬるしていてなめると苦い味がします。肌が綺麗になる美人の湯といわれている温泉に炭酸水素塩泉が多いです。
- 日本全国の炭酸水素塩泉
- 小谷温泉、奥飛騨温泉郷、赤城温泉など
- 炭酸水素塩泉の適応症
- 入浴:きりきず、やけど、末梢循環障害など
- 飲用:胃十二指腸潰瘍、糖尿病など
塩化物泉
塩化物泉とは、温泉1kg当たりに含まれる溶存物質量(ガス性のものを除く)が1g以上で、陰イオンの主成分が塩化物イオンの温泉のことです。
主成分である陰イオンの塩化物イオンと結びつく陽イオンの種類によって、ナトリウム塩化物泉、マグネシウム塩化物泉、カルシウム塩化物泉などに分けられます。
塩化物泉は、日本では単純温泉の次に数が多く、保湿効果が高く湯あたりしにくい温泉です。温泉水をなめると塩の味がします。
- 日本全国の塩化物泉
- 熱海温泉、登別温泉、四万温泉、白浜温泉、湯平温泉など
- 塩化物泉の適応症
- 入浴:きりきず、やけど、末梢循環障害など
- 飲用:萎縮性胃炎、便秘
硫酸塩泉
硫酸塩泉とは、温泉1kg当たりに含まれる溶存物質量(ガス性のものを除く)が1g以上で、陰イオンの主成分が硫酸イオンの温泉のことです。
主成分である陰イオンの硫酸イオンと結びつく陽イオンの種類によって、ナトリウム硫酸塩泉、マグネシウム硫酸塩泉、カルシウム硫酸塩泉などに分かれます。
硫酸塩泉は、血液の流れを良くする働きがあります。
- 日本全国の硫酸塩泉
- 浅虫温泉、尻焼温泉、伊香保温泉、川古温泉、川中温泉、湯ヶ島温泉など
- 硫酸塩泉の適応症
- 入浴:きりきず、やけど、末梢循環障害など
- 飲用:便秘など
含鉄泉
含鉄泉とは、温泉1kg当たり20mg以上の総鉄イオンを含む温泉のことです。
含鉄泉の源泉は無色透明ですが、空気に触れて酸化すると褐色に変わります。
皮膚が弱い方は肌荒れしやすいので入浴後はシャワーでよく洗い流してください。
- 日本全国の含鉄泉
- 有馬温泉、関温泉、鳴子温泉など
- 含鉄泉の適応症
- 入浴:月経障害
- 飲用:鉄欠乏性貧血症
硫黄泉
硫黄泉とは、温泉1kg当たり2mg以上の総硫黄を含む温泉のことです。
浴槽には黄白色の沈殿物がこびりつき、卵が腐ったような独特な臭いがあり、刺激が強いので湯あたりが起こりやすい温泉です。
硫黄泉の源泉は無色透明ですが空気に触れて酸化すると白色に変わるので、一般的に乳白色の温泉には硫黄泉が多く、血管を広げる作用があります。
- 日本全国の硫黄泉
- 日光湯元温泉、黒川温泉、強羅温泉、野沢温泉、万座温泉、別所温泉など
- 硫黄泉の適応症
- 入浴:アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、きりきずなど
- 飲用:糖尿病など
酸性泉
酸性泉とは、温泉1kg当たり1mg以上の水素イオンを含む温泉のことです。
酸性泉はpHが酸性に傾いている温泉なので殺菌性が強くなめると酸っぱい味がします。特に草津温泉は強酸性の湯なので皮膚病の改善に効果があるといわれています。
- 日本全国の酸性泉
- 草津温泉、玉川温泉、登別温泉、酸ヶ湯温泉など
- 酸性泉の適応症
- 入浴:アトピー性皮膚炎、糖尿病など
- 飲用:特になし
含よう素泉
含よう素泉とは、温泉1kg当たり10mg以上のよう化物イオンを含む温泉のことです。
よう化物イオンを含んだ温泉の色は黄色で全国的に数は少なく珍しいです。
消毒液の成分なので殺菌効果があります。
- 日本全国の含よう素泉
- 白子温泉、たまゆら温泉、大潟村温泉など
- 含よう素泉の適応症
- 入浴:特になし
- 飲用:高コレステロール血症
放射能泉
放射能泉とは、ラドンを8.25マッヘ以上含む温泉のことをいいます。
ラドンは常温では気体なので、ラドンの多くは皮膚から吸収されるよりも呼吸により体内に摂取され呼吸で排泄されます。
放射線量は微量なので人体に害はなく、免疫細胞の活性化が期待でき、放射能泉の温泉地は数少ないので貴重な温泉といわれています。
- 日本全国の放射能泉
- 三朝温泉、有馬温泉、村杉温泉、熊の川温泉、猿投温泉など
- 放射能泉の適応症
- 入浴:痛風、関節リウマチ、動脈硬化症、高血圧症など
- 飲用:胆石症など
(記事作成日:2017年10月16日、最終更新日:2019年7月20日)