ダイエットを成功させる為の食事の栄養素の基礎知識
ダイエットは食事のカロリーと栄養素を知ることが重要
ダイエットを始める前にまずは栄養素の勉強をしましょう。
みなさんは、人が生きていく上で必要な3大栄養素は何か答えられますか?
3大栄養素には、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質があり、この3つは体を構成する為に必要なエネルギー源となります。
その他に、5大栄養素(基本の栄養素)といわれているものがあり、炭水化物、タンパク質、脂質の他に、
- ビタミン
- ミネラル
を加えて、私たち人間はエネルギーを作る他に、代謝を良くする、酵素の活性や骨や歯を作る、体の調子を整えるなどの作用をバランスよく行っています。
※人間は、5大栄養素と水を摂り入れることにより栄養を得て生きています。
ですので、ダイエットをしている人で炭水化物を食べない低炭水化物ダイエットをしたことがある人もいると思いますが、炭水化物は体と脳が生きていく為のエネルギー源となる絶対必要な栄養素なので食べないわけにはいきません。
成人女性の賢い食事の方法としては、
- 食事は1日3回摂る
- 1日の摂取カロリーは1800kcalを目標にする
- 1回の食事は600kcalに抑える
などですが、次のことが一番重要で、1800kcalの摂取カロリー量の中で、炭水化物、タンパク質、脂質の割合を考えて食事を摂ることです。
- 炭水化物:50~65%(900kcal~1170kcal)
- タンパク質:自分の体重1kg当たり1g(約200kcal)
- 脂質:20~30%(360kcal~540kcal)
上記となるように栄養素の配分を考えて食材を選んでください。
ダイエットをしているにも関わらず炭水化物を食べている割合が80%程になっていたらダイエットをしていることになりませんし、逆に炭水化物の割合が40%になっていたら明らかに栄養不足の状態です。
カロリーだけを気にしている人が大勢いますが、栄養素の配分が重要なのです。また、ビタミン、ミネラルもバランスよく摂ることでより健康な体へと変化していきます。
今までなんとなくダイエットをしていた方は、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルについて知識を深めて正しいダイエットを行ってください。
炭水化物の基礎知識
炭水化物の働きと特徴
炭水化物(糖質)は1g当たり4kcalのエネルギーを含んでおり、体内に摂り入れると素早くエネルギーに変わり、体を動かすエネルギー源となる栄養素です。
※脳や神経組織のエネルギーにも使われます。
炭水化物とは、次の式のように、糖質と食物繊維を含めたもので糖質がエネルギーとなります。
炭水化物=糖質(エネルギーを含んでいる)+食物繊維(一般的には栄養として吸収されない)
※食品の説明で糖質の他に糖類という言葉がよく出てきますが、糖類とは、単糖類(ブドウ糖など)と二糖類(砂糖、麦芽糖など)のことをいいます。糖質とは、多糖類(デンプンなど)、糖アルコール(キシリトール、ソルビトールなど)、合成甘味料(スクラロースなど)のことです。
私たちの主食であるデンプンは、口から摂り入れると消化酵素のアミラーゼによって麦芽糖になった後に、小腸で消化酵素のマルターゼによって分解されてこれ以上加水分解されない単糖類のブドウ糖になり血液によって体内へ送られます。
また、糖質はエネルギーになりますが消費されずに余った分は体脂肪として体内に蓄えられるので過剰に摂取するのは禁物です。
- 糖質が含まれる代表的な食材:ご飯、パン、麺類、じゃがいもなどのデンプン、果物
※炭水化物のカロリーの計算方法は、ある食べ物に炭水化物が20g含まれていたら、20×4=80kcal含まれていることになります。
食物繊維の働きと特徴
食物繊維は、エネルギーを含んでいない炭水化物のことで、人の消化酵素では分解できない食べ物に含まれている成分の総称として使われます。
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維(海藻、こんにゃくなど)と水に溶けない不溶性食物繊維(野菜、いも、まめ、きのこ、穀類など)に分かれ、不溶性食物繊維は便を固くすることがあるので注意してください。
食物繊維の特徴としては、
- ブドウ糖の吸収を穏やかにする
- 糖尿病の予防や血糖値の上昇を抑えて生活習慣病の予防
- 腸の働きを良くして便秘を改善
などの働きがあるので、食物繊維を多く含んでいる食べ物の方が健康にいいでしょう。
- 水溶性食物繊維が含まれる代表的な食材:海藻、こんにゃく、れんこん
- 不溶性食物繊維が含まれる代表的な食材:野菜、ごぼう、まめ、きのこ
※食物繊維の摂取量の目安は、成人男性で1日20g以上、成人女性で1日18g以上とされています。
タンパク質の基礎知識
タンパク質の働きと特徴
タンパク質は1g当たり4kcalのエネルギーがあり、筋肉、皮膚、髪の毛、骨、赤血球、酵素などの体の構成成分として欠かせない栄養素です。
口からタンパク質を摂り入れるとアミノ酸に一旦分解され、その後に小腸から体内へ吸収され再合成され人間に相応しいタンパク質に変わります。
タンパク質には、動物性タンパク質(卵、乳製品、魚介類、肉類など)と植物性タンパク質(枝豆、落花生、大豆製品など)があり、必須アミノ酸が足りないと体内で合成できなくなるので、動物性と植物性の両方のタンパク質をバランスよく食べるようにして必須アミノ酸を摂取するようにしてください。
タンパク質の特徴としては、血糖値の上昇を穏やかにする働きがあることです。摂り過ぎても体外へ排出されて蓄えることができないので体脂肪になりにくいですが、1日の摂取量の目安は体重が50kgの人で50g程度です。
※タンパク質が不足すると、筋肉が落ちて肌の状態もカサカサで悪くなり代謝も低下するので気をつけましょう。
また、タンパク質はエネルギー源としても使われており、アミノ酸を合成する時により多くのエネルギーを使うので炭水化物も一緒に摂取するのがいいでしょう。
- タンパク質が含まれる代表的な食材:肉類、豆腐、卵、牛乳、魚介類
※タンパク質のカロリーの計算方法は、ある食べ物にタンパク質が5g含まれていたら、5×4=20kcal含まれていることになります。
人間に必要なアミノ酸の種類
人間は20種類のアミノ酸を鎖状につなげてタンパク質を作っており、その20種類のアミノ酸の中には、体内で合成できるアミノ酸(非必須アミノ酸)と合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)に分かれています。
必須アミノ酸は食べ物から摂取しなければいけませんが、非必須アミノ酸は体内で作られるといっても食事をすることによってその栄養から作られるので食事のバランスに気をつけてください。
必須アミノ酸は、
- トリプトファン
- リジン(リシン)
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トレオニン(スレオニン)
- バリン
- イソロイシン
- ロイシン
- ヒスチジン
の9種類です。
非必須アミノ酸は、
- アラニン
- アルギニン
- アスパラギン
- アスパラギン酸
- システイン(必須アミノ酸のメチオニンから合成されます。)
- グルタミン
- グルタミン酸
- グリシン
- プロリン
- セリン
- チロシン(必須アミノ酸のフェニルアラニンから合成されます。)
の11種類です。
※人間が必要なアミノ酸は、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸を合計した20種類です。
脂質の基礎知識
脂質の働きと特徴
脂質は1g当たり9kcal含まれており、体内に摂り入れるとエネルギーに変わるまでに時間が掛かりますが、炭水化物と同じようにエネルギー源となる栄養素です。
※息が切れないくらいのペースで有酸素運動を続けると脂肪は効率よく燃えてくれます。
口から脂質を摂り入れると小腸でいったん脂肪酸に分解された後に再び合成され血液によって体内へ送られます。
脂質は体の機能を保つ為に必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると肥満などの生活習慣病の原因となるので適度に必要量摂取してください。
脂質は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されて、不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれ、多価不飽和脂肪酸は、さらにn-3系(オメガ3系)脂肪酸とn-6系(オメガ6系)脂肪酸に分かれます。
※脂質のカロリーの計算方法は、ある食べ物に脂質が2g含まれていたら、2×9=18kcal含まれていることになります。
飽和脂肪酸の特徴
飽和脂肪酸はほとんどが動物性の脂で、飽和脂肪酸を摂りすぎると中性脂肪が増えたり動脈硬化などの生活習慣病の原因になるので摂取量は控えましょう。
※飽和脂肪酸などを原料にしてコレステロールが作られるので摂り過ぎないように気をつけてください。
- 飽和脂肪酸が含まれる代表的な脂:バター、牛肉・豚肉・鶏肉の脂身など動物性の脂
不飽和脂肪酸の特徴
不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸)に分かれ、代謝を促進したり、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らす働きがあるので健康に良い油といわれています。
※不飽和脂肪酸はほとんどが植物性の油です。
特に、オメガ3系脂肪酸は、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が体に良いということで有名です。食べ物からしか摂取できない脂質で、体脂肪になりにくい、代謝を上げる、生活習慣病の予防に効果があります。
※熱に弱いので調理に使う時は気をつけましょう。
また、オメガ6系脂肪酸も食べ物からしか摂取できない脂質で、生活習慣病の予防になるリノール酸などがありますが、善玉コレステロールも減らしてしまうので注意が必要です。
オメガ9系脂肪酸は、オレイン酸があり酸化しにくいのが特徴です。
- 一価不飽和脂肪酸(n-9系(オメガ9系)脂肪酸)が含まれる代表的な油:オリーブ油
- 多価不飽和脂肪酸(n-3系(オメガ3系)脂肪酸)が含まれる代表的な油:えごま油、くるみ、マグロ・サバなどの青魚
- 多価不飽和脂肪酸(n-6系(オメガ6系)脂肪酸)が含まれる代表的な油:サフラワー油、大豆油、ごま油
ビタミンの基礎知識
ビタミンの働きと特徴
ビタミンは、3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)のように直接エネルギーを作ることはできませんが、3大栄養素がエネルギーになるのを手助けしたり体の調子を整える為に必要な栄養素です。
ビタミンは、水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群、C)と油に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)に分類されます。
水溶性・脂溶性のどちらのビタミンも人間の体の調子を整える為には大切なもので、人間の体内では作られないのでバランスに気をつけて食事をしましょう。
※ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンKは微量ですが体内で作ることができます。
水溶性ビタミンの特徴
水溶性ビタミンは、熱に弱く、水洗いでもビタミンが流れ落ちてしまうので食材を調理する時は気をつけましょう。
※水溶性ビタミンは体内へたくさん摂取しても数時間で排出されるので蓄積されにくいです。
- ビタミンB群
- ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質をエネルギーに変える代謝の促進に役立ちます。不足すると糖質や脂質が体脂肪として蓄積されやすくなります。
- ビタミンB群が含まれる代表的な食材:レバー、魚介類、大豆、緑黄色野菜
- ビタミンC
- ビタミンCは、コラーゲンの合成や免疫力を上げる働きがあります。また、美肌効果もあるので積極的に摂取したい栄養素です。不足するとだるさを感じたり肌荒れが起こります。
- ビタミンCが含まれる代表的な食材:野菜、果物、じゃがいも
脂溶性ビタミンの特徴
脂溶性ビタミンは、熱に強いので加熱を加えて調理してもビタミンは壊れません。しかし、脂溶性ビタミンは体内へ蓄積され悪影響を及ぼすことがあるので過剰に摂取することは控えるようにしましょう。
- ビタミンA
- ビタミンAは、皮膚、粘膜、目の健康維持に役立つ栄養素です。不足すると視力が低下したり皮膚が乾燥しやすくなります。
- ビタミンAが含まれる代表的な食材:レバー、うなぎ、乳製品、緑黄色野菜
- ビタミンD
- ビタミンDは、小腸でカルシウムの吸収を高める効果があります。食物以外でも、日光を浴びることにより摂取できます。不足すると骨が弱くなり骨粗しょう症になるリスクが増えます。
- ビタミンDが含まれる代表的な食材:魚介類、卵、きのこ
- ビタミンE
- ビタミンEは、抗酸化作用があるので老化防止や生活習慣病の予防に効果があります。不足すると血行が悪くなり肩コリや貧血が起こりやすくなります。
- ビタミンEが含まれる代表的な食材:アーモンド、落花生、さつまいも、魚介類
- ビタミンK
- ビタミンKは、出血した時に血液を固めたり、骨の量を増やす効果があります。不足すると出血した箇所の血が止まるのが遅くなったり、骨折しやすくなります。
- ビタミンKが含まれる代表的な食材:納豆、緑黄色野菜、海藻
ミネラルの基礎知識
ミネラルの働きと特徴
ミネラルはビタミンと同じように直接エネルギーを作ることはできませんが、体の機能を整える働きをする重要な栄養素です。
人間の体を作るのに必要なミネラルには、
- カルシウム(Ca)
- マグネシウム(Mg)
- カリウム(K)
- ナトリウム(Na)
- 鉄(Fe)
- 亜鉛(Zn)
- リン(P)
- 銅(Cu)
- マンガン(Mn)
- ヨウ素(I)
- セレン(Se)
- モリブデン(Mo)
- クロム(Cr)
- イオウ(S)
- 塩素(Cl)
- コバルト(Co)
の16種類があります。
※厚生労働省が摂取基準を定めているのは、イオウ(S)、塩素(Cl)、コバルト(Co)を除いた13種類のミネラルです。
上記のミネラルは体を作る為に必要なものですが、ダイエットを成功させるには、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)を積極的に必要量摂取するように心がけることがポイントです。
- カルシウム
- カルシウムは、骨や歯を作る栄養素です。不足すると骨が弱くなったりイライラしやすくなります。
- カルシウムが含まれる代表的な食材:牛乳、チーズ、小魚、こまつな、大豆
- マグネシウム
- マグネシウムは、酵素の作用の活性化、全身の新陳代謝、カルシウムと共に骨を作る効果があります。不足すると骨が弱くなったり心機能が悪くなり不整脈が起こったりします。
- マグネシウムが含まれる代表的な食材:魚介類、海藻、大豆、落花生、緑黄色野菜
- 亜鉛
- 亜鉛は、酵素の作用の活性化、全身の新陳代謝の効果があります。不足すると味覚障害になったり、皮膚・髪の毛などの成長が悪くなります。
- 亜鉛が含まれる代表的な食材:牡蠣、アサリ、シジミ、牛もも、鶏レバー
(記事作成日:2017年8月6日、最終更新日:2018年2月24日)