車のエンジンオイルの役割と選び方
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- 目的(解決できる悩み)
- 車のエンジンに使われているエンジンオイルの役割とエンジンオイルの選び方がわかるようになること
- 目次
- 1.エンジンオイルの基礎知識
- エンジンオイルの役割
- エンジンオイルは消耗品
- 2.エンジンオイルの選び方
- エンジンオイルの種類
- エンジンオイルの粘度
- エンジンオイルの品質
- エンジンオイルを選ぶ時の注意点
1.エンジンオイルの基礎知識
エンジンオイルは、車のエンジンの潤滑・冷却などをする為になくてはならないオイルです。
エンジンオイルを使い続けていくと徐々に汚れてきて本来の性能が発揮できなくなりエンジンの調子が悪くなってくるので気をつけてください。
エンジンオイルの役割
車のエンジンの外見は、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、オイルパンなどのアルミや鉄の表面しか見えませんが、エンジンの内部は、カムシャフト、吸気・排気バルブ、ピストン、コンロッド、クランクシャフトなどの数多くの部品で構成されています。
エンジンは、吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の4つの行程を繰り返し混合気(空気と燃料が霧状になったもの)を燃焼させながら回転エネルギーを得ているので、部品どうしがスムーズに動くようにしたり、燃焼した時の熱でエンジンの温度が高くならないようにする為にエンジンの内部にエンジンオイルが注入されています。
エンジンオイルは、エンジンを始動する前はオイルパンに溜まっており、エンジンを始動するとオイルポンプによってエンジン内部の全体に行きわたるようになり、各部品の表面に油膜を作りエンジンがスムーズに動けるようにする役割があります。
エンジンオイルの主な役目は潤滑ですが、その他には、冷却、清浄、密閉、防錆をする役目もあります。
- 潤滑作用
- 部品と部品が擦れ合った時の摩擦で部品にキズがつかないようにします。
- 冷却作用
- 部品から熱を奪ってエンジンの温度が高くなるのを防ぎます。温度が高くなるとオーバーヒートしてエンジンが止まります。
- 清浄作用
- 部品どうしの摩擦によって発生した金属粉やピストンとシリンダーの隙間から侵入したブローバイガスによる汚れを洗い流します。
- 密閉作用
- ピストンとシリンダーとの隙間の密閉度を上げて混合気が漏れないようにして、それぞれの行程をスムーズに行えるようにします。
- 防錆作用
- 部品をオイルで覆い錆びないようにします。
このように、エンジンオイルにはエンジンを壊れにように守るいろいろな役目があるので、くれぐれもエンジンが動いている時に切らさないようにすることが大切です。
エンジンオイルは消耗品
エンジンオイルは1度交換すれば無交換で一生使い続けれるものではありません。
エンジンオイルは高温になると酸化しますし、古く汚れたエンジンオイルを使い続けていると油膜が弱くなりスラッジ(泥状のかたまり)が発生し各部品に汚れが付着しやすくもなりますので新しいエンジンオイルに定期的に交換することが大切です。
性能が低下したエンジンオイルを長い間使い続けると、本来の潤滑、冷却、清浄、密閉作用という性能が発揮できなくなり、シリンダーに傷がついたり、最悪の状況ではピストンが焼きついてエンジンが止まって高い修理費用を支払って直さなければいけなくなります。
エンジンの部品の修理費用は30万以上掛かるのでノーメンテナンスでは乗らないでください。エンジンから普段聞かない異音がする、排気ガスの色がずっと真っ白な時は危険なサインです。
エンジンオイルはエンジンに悪い影響を与えないようにする為の重要な役割を果たしている消耗品ということを覚えておいてください。
2.エンジンオイルの選び方
ホームセンターやカー用品店に行くと、価格が安いものから高いものまでいろいろなエンジンオイルが販売されていますね。
エンジンオイルを選ぶ時は、ベースオイルの種類、粘度、品質の3項目を見て決めてください。
エンジンオイルの種類
車のエンジンオイルはAPI(米国石油協会)によってベースオイルの違いでグループ1~5(1~3が鉱物油、4~5が化学合成油)までの5種類に分類されていますが、実際には私たちがカー用品店で手にするエンジンオイルは、次のように、鉱物油、部分合成油、化学合成油(全合成油を含む)の3種類しかありません。
※グループ3は鉱物油の種類ですが合成油として扱われることが多いです。
- 鉱物油
- 価格が安いので一般的に広く使われているエンジンオイルですが、化学合成油よりも劣化が早く性能が長期間にわたり安定しないのがデメリットです。
- 向いている車:街乗りがメイン
- ベースオイル:グループ1、グループ2
- 部分合成油
- 価格は鉱物油より高いですが、鉱物油と化学合成油のいいとこどりをしたエンジンオイルです。
- 向いている車:街乗りが多いがたまに高速道路も走る
- ベースオイル:グループ2、グループ3(VHVI、HIVI)
- 化学合成油
- 価格は部分合成油より高いですが、合成油又は化学合成油を100%使っているので性能が長期間安定している高性能オイルです。
- 向いている車:高回転を多用したスポーツ走行が多い
- ベースオイル:グループ3(VHVI、HIVI)、グループ4(PAO)、グループ5(エステル)
※グループ3は全合成油、グループ4と5は100%化学合成油という名称で区別して缶に表記されています。
各ベースオイルは何が違うのかというと性能と価格です。グループ1のオイルは性能が低く価格が安い、グループ5のオイルは性能が高く価格が高いという特徴を持っています。
なお、100%化学合成油のような価格が非常に高いエンジンオイルを注入すればオイルの寿命が伸びるかもしれませんが、全合成油を注入してもオイルの寿命が極端に延びるわけではないので勘違いしないでください。鉱物油、部分合成油、全合成油はどれでも同じようなサイクルでエンジンオイルの交換が必要です。
エンジンオイルの粘度
粘度とは、エンジンオイルの硬さのことでSAE粘度規格で表されています。エンジンオイルのパッケージに書かれている5W-30などという英数字が粘度です。
例えば、5W-30という粘度のエンジンオイルの意味を簡単に説明すると、
エンジンオイルの粘度の意味
- 5W:低温時の性能のこと(数字が小さい程寒さに強いオイル)
- 30:高温時の性能のこと(数字が大きい程暑さに強いオイル)
ということを表しています。
エンジンオイルの粘度は5W-30の他にも、0W-20、10W-30、10W-40などという種類があります。
エンジンオイルの粘度はそれぞれの車のエンジンに合う粘度が自動車メーカー側で指定してあるので、どの粘度のエンジンオイルでも入れていいわけではありません。それぞれの車の取り扱い説明書に書かれている粘度のオイルを選ぶようにしてください。
エンジンオイルの品質
品質とは、エンジンオイルの性能の分類のことでAPIという品質の規格で表されています。
最近では、SH、SJ、SL、SM、SN、SPという品質のグレードのエンジンオイルが販売されています。この6つのグレードでいうと、SHが低品質、SPが高品質のエンジンオイルとなります。
現在では、SPのグレードが最高品質のエンジンオイルの位置づけなので、SP又はSNのグレードを選んでおけば大丈夫です。
なお、API規格の隣に書かれているILSACのGF-5とは、ILSAC規格(国際潤滑油標準化認証委員会)のGF-5というグレードのことです。一昔前がGF-5で最新がGF-6です。
API規格とILSAC規格を見れば、いつの時代に設計されたオイルなのかが予測できます。
エンジンオイルを選ぶ時の注意点
高速道路の走行やスポーツ走行がメインの方は、ベースオイルは部分合成油又は化学合成油で品質の規格はSPグレードの社外品(モービル、カストロール、ENEOS、レプソルなど)がおすすめです。
街乗りがメインの方は、ベースオイルと品質の規格は特に気にする必要はなく、純正品を選んでもホームセンターのプライベートブランドオイルを選んでも問題ありません。
また、粘度に関しては、個々の車の取り扱い説明書で指定されている粘度のエンジンオイルを選ぶようにすれば、加速が鈍くなったり燃費が悪くなったというようなエンジンの不調を感じることはありません。
粘度はピストンとシリンダーの隙間(クリアランス)の潤滑などに大きく影響するので、一昔前の車で10W-30が指定してある車に0W-20などの低燃費用のエンジンオイルを入れないでください。燃費はよくなりますが油膜が弱いのでエンジンの寿命を縮める原因になるので気をつけましょう。
気になるようでしたら、車の取り扱い説明書で指定してある粘度の純正品の銘柄のエンジンオイルを購入してください。
エンジンオイルの種類と選び方がわかったところで次はエンジンオイルの点検方法を見ていきましょう。
(記事作成日:2017年4月10日、最終更新日:2021年7月11日)