スキンケア化粧品の合成界面活性剤と洗顔料のpHの働き
スキンケア化粧品に含まれる合成界面活性剤は何をするもの?
皮膚の一番外側にある表皮の角質層と角質層を外側から覆っている汗と皮脂が混ざり合った皮脂膜は、外部から外敵が体内に侵入しないようにバリアの役目を果たしていることをご存じでしょうか。
どなたにも備わっている天然のバリア機能は具体的にはどのようなことをしているのかというと、
- 細菌やウイルスが皮膚から体内へ侵入しないようにする
- 化学物質などが皮膚に浸み込まないようにする
- 体内の水分が失われないように皮膚から大量に蒸散しないようにする
- 乾燥、摩擦、紫外線などの刺激から体を守る
というように、角質層と皮脂膜はとても大切な役目を持っています。
一昔前のスキンケア化粧品は角質層を潤す程度でしたが、最近のスキンケア化粧品は大変進化していてナノテクノロジーの技術により基底膜や真皮まで達し、肌によい有効成分を皮膚の奥の方まで届けることができるようになりました。
この皮膚の奥の方へスキンケア化粧品の有効成分を届ける技術を支えているのが合成界面活性剤です。
合成界面活性剤は、化粧品(洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、メイク用品)に含まれており、化粧品の他にはお風呂で使っているボディーソープ、シャンプー、リンス、洗顔料、台所の食器洗剤や衣類の洗濯洗剤などの品質を長期間保つ(洗浄、分散、乳化、泡立ち作用など)目的で多くの商品に使われています。
化粧品に含まれている合成界面活性剤は何の為に入れられているのかというと水と油を混ぜ合わせる為です。また、合成界面活性剤が入っていれば、クリームなどの伸びをよくしたり、いろいろな成分を均一に分散できるので化粧品の品質を高める為に入れてあります。
合成界面活性剤の働きで成分が肌の奥の方に浸透する
なぜ合成界面活性剤が肌の奥の方まで届くのか考えてみましょう。
化粧品の成分が肌を浸透していくには、
- 角質層の細胞と細胞との間を通っていく
- 細胞膜を壊して細胞そのものに染み込んで伝わっていく
の2つのパターンがあります。
合成界面活性剤は分子量が小さいので細胞そのものに染み込んでいくのです。
合成界面活性剤の役目は水と油を混ぜ合わせて品質を保持することですが、肌の奥の方まで化粧品に含まれている有効成分を届ける力も持っているのです。
ここで注意したいことは、合成界面活性剤は、防腐剤などのような体に悪い成分も一緒に浸透させて皮膚の奥の方まで届けてしまうことです。
体内に吸収された悪い成分は、一旦、皮下組織に蓄積されその後に血管やリンパ管を通って体内を巡り、肝臓で解毒され排泄されますが、どんどん悪い成分が入ってくると処理が間に合わなくなって体内に蓄積されていきます。
化粧品には肌への良い成分の他に、化粧品の品質を維持させる為に合成界面活性剤とその他に、防腐剤、香料なども添加されていますので、個人差はありますがその成分による皮膚への刺激で肌が赤くなることもあるので注意してください。
肌トラブルを防ぐには、化粧品を使ってみて自分の肌に合わないと感じたらそれ以降は使わないようにすることです。
洗顔する時は洗顔料よりも石鹸がいいの?
みなさんは、pH(ピーエイチ、ペーハー)という言葉をご存じですか?
pHとは溶液中に含まれる水素イオン濃度のことで、0から14までの数値で酸性・中性・アルカリ性を表す時の指標です。
※0が強酸性、7が中性、14が強アルカリ性です。
酸性とアルカリ性の特徴としては、酸性は洗浄力が弱く、アルカリ性は洗浄力が強くなります。
一般的に人間の皮膚の表面は常在菌の働きで弱酸性に保たれているので弱酸性の洗顔料で洗えば肌にいいと思われますよね。
確かに、肌が弱い人は皮膚の表面の皮脂を取り過ぎると肌が刺激を受けるので弱酸性(低刺激タイプ)の洗顔料を使った方がいいですが、健康な肌の人は弱酸性の洗顔料は使わない方がいいです。
なぜなら、弱酸性の洗顔料は肌にやさしいのですが洗浄力が弱いので古い皮脂などの汚れを落としきれないからです。
※肌に古い皮脂を過剰に残した状態で化粧品を使うと肌トラブルの原因になります。
もし、弱酸性の洗顔料で洗浄力が強いならば洗浄力が強い成分が配合されていることになります。
※弱酸性の洗顔料はpH5~6くらいなので洗浄力が弱いので合成界面活性剤や乳化剤を混ぜて洗浄力を上げています。
では、健康な肌の人はどのような成分が含まれた洗顔料で洗顔すればいいのかというと石鹸が安全です。石鹸はアルカリ性(pH9~10くらい)なので脂汚れを落とすことができます。
石鹸で洗顔する方法は、乳液、オイル、クリームなどしか使っていない場合に有効ですし、メイクが薄い又はメイクをしていない場合でも、石鹸を使った洗顔だけで十分汚れは落とせます。
クレンジング剤はメイクを落とす為のものなので洗浄力が強く皮膚への刺激も強くなります。
また、クレンジング剤に含まれている合成界面活性剤や乳化剤は化粧を落とすと同時に皮膚の表面の脂も強力に落としてしまうので素早く洗う必要があり、クレンジング剤が必要ない時はできれば使わないようにすると肌を乾燥から守ることができます。
(記事作成日:2017年12月14日、最終更新日:2017年12月14日)