正しい敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)の使い方をマスターしよう
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- 敬語の基礎知識
- 目的(解決できる悩み)
- 尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い方がわかるようになること
- 目次
- 1.敬語の使い方
- 敬語って何ですか?
- 2.尊敬語(そんけいご)
- 尊敬語に置き換える方法
- になる、くださる、なさる、られるを付け加える方法
- 名詞の尊敬語
- 二重敬語
- 3.謙譲語(けんじょうご)
- 謙譲語に置き換える方法
- いたす、申し上げる、いただく、するを付け加える方法
- 名詞の謙譲語
- 尊敬語と謙譲語の違い
- 4.丁寧語(ていねいご)と改まり語
- 丁寧語
- 美化語
- 改まり語
1.敬語の使い方
敬語は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があります。
尊敬語は相手の行動や状態を敬う言葉、謙譲語は自分のことをへりくだる言葉、丁寧語はものごとを丁寧に言う言葉です。
それぞれの言葉は意味が違うので使う場面を覚えてください。
敬語って何ですか?
私たちは毎日言葉を話してみなさんとコミュニケーションをとっています。
友達どうしで会話をする時は敬語を意識して話をしませんが、次のような場合はどう対処しますか。
丁寧な言葉づかいで話さないといけない人
- 働いている会社の上司と話す時
- 学校の先生と話す時
- 就職活動や転職活動で面接をする時
- 自分より年上の人と話す時
- 人との付き合いで上下関係がある時
無論、相手に失礼とならないように敬語を使って話をすることが普通ですよね。
敬語の使い方がわからないので敬語を使わないよりも、敬語の使い方を覚えて言葉使いが上手くなった方が人とのコミュニケーションもよくなります。
敬語は、大きく分けると尊敬語(そんけいご)、謙譲語(けんじょうご)、丁寧語(ていねいご)の3つに分類できます。
敬語は算数・数学のようにとっつき難い計算は必要ありませんので、この3つの基本を覚えて形に当てはめてもらえれば誰でも敬語を話すことができるようになります。
敬語が難しいと感じている方は、尊敬語と謙譲語の意味が曖昧になっていることが多いです。
また、敬語は、尊敬語、謙譲語、丁寧語に分けられますが、文化審議会の答申として敬語の指針というさらに細かく分けたものがあります。
敬語の種類 | 文化審議会の敬語の指針 | 説明 |
---|---|---|
尊敬語 | 尊敬語 | 相手の動作に敬意を表すもの |
謙譲語 | 謙譲語Ⅰ | 自分の動作を低くするもの |
謙譲語Ⅱ(丁重語) | 自分を弱めて、そして、相手に丁重さを表すもの | |
丁寧語 | 丁寧語 | 相手に対して丁寧に述べるもの |
美化語 | 言葉を上品にするもの |
※尊敬語は分かれませんが、謙譲語は謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱに分かれ、丁寧語は丁寧語と美化語に分かれます。
それでは、尊敬語、謙譲語、丁寧語の特徴と使い方について見ていきましょう。
2.尊敬語(そんけいご)
尊敬語とは、相手側の動作、行動、状態に対して話し手が敬意を表して述べることです。
※自分よりも相手を高く見せること。
例えば、
目上の人に対して尊敬語を使う
- 会社の社長
- 買い物に来たお客さん
- 学校の先生
などのような目上の人に対して、相手を立てる時に使います。
尊敬語は相手の動作に対して敬意を表すので、対象となる言葉(動詞)を尊敬語へ変化させます。
動詞を尊敬語にするには、大きく分けると次の2つの方法があります。
- 動詞をあらかじめ決まっている尊敬語に置き換える方法
- になる、くださる、なさる、られるを動詞の語尾に付け加える方法
尊敬語と謙譲語を間違えて使うことが多いので間違えないようにしてください。
尊敬語に置き換える方法
みなさんは、尊敬語と言えば、まず、動詞をあらかじめ決まっている尊敬語に置き換える方法を思い浮かべるのではないでしょうか。
例えば、「食べる」、「見る」を尊敬語に置き換えてみましょう。
「食べる」を尊敬語にすると「召し上がる」になります。
食べる→召し上がる
- 普通の文:社長はご飯を食べる。
- 尊敬語の文:社長はご飯を召し上がる。
「見る」を尊敬語にすると「ご覧になる」になります。
見る→ご覧になる
- 普通の文:お客はカタログを見る。
- 尊敬語の文:お客はカタログをご覧になる。
このように、あらかじめ決まり切った形になっている尊敬語の言葉を使います。下の表はよく使う尊敬語ですのでしっかり覚えてください。
基本 | 尊敬語 |
---|---|
食べる | 召し上がる |
見る | ご覧になる |
言う | おっしゃる |
行く、来る、いる | いらっしゃる |
する | なさる |
になる、くださる、なさる、られるを付け加える方法
次の方法は、になる、くださる、なさる、られるを動詞の語尾に付け加え、さらに「お」、「ご」を動詞の先頭につけます。
この方法は、特に意識していなくても普段から何気なく使われている方は多いのではないでしょうか。
話す、書く、帰るを例にして見ていきましょう。
- になる
- 先生が夏休みの課題についてお話しになる。
- 部長が議事録をお書きになる。
- お客様がお帰りになる。
- くださる
- お話しくださる。
- お書きくださる。
- お帰りくださる。
- なさる
- お話しなさる。
- お書きなさる。
- お帰りなさる。
- られる
- 話される。
- 書かれる。
- 帰られる。
このように、特定の言葉をつなぎ合わせれば尊敬語に変わります。
名詞の尊敬語
名詞を尊敬語にするには、相手側に関するものの言葉(名詞)の先頭に「お」や「ご」をつけます。
この名詞の尊敬語も何気なく使っている方は多いと思います。
次のように、名前、気持ち、住所、満足、車などの名詞の先頭に、「お」、「ご」を付けて、お名前、お気持ち、ご住所、ご満足、お車にして使います。
お、ごを付ける方法
- 先生のお名前は○○です。
- こちらは社長のお車です。
このように、おやごをつけてると尊敬語に変わります。
二重敬語
二重敬語とは、通常は1つの言葉に対して1つの敬語を使いますが、間違えて2つの敬語を重ねて使ってしまうことです。
例えば、「お帰りになられる」という尊敬語は正しいでしょうか?
お帰りになられるとは、
お帰りになられるは二重敬語
- お帰りになる
- 帰られる
の2つの敬語を二重に使っているので間違いとなります。言葉の響きで判断せず、複雑に考えないようにして、正しい使い方を覚えましょう。
3.謙譲語(けんじょうご)
謙譲語とは、自分自身の動作、行動、状態に対してへりくだることで、その結果、相手を立てる表現です。
※自分を低く見せて、相手を高く見せること。
謙譲語は自分の動作を低く表すので、対象となる言葉(動詞)を謙譲語へ変化させます。
動詞を謙譲語にするには、大きく分けると次の2つの方法があります。
- 動詞をあらかじめ決まっている謙譲語に置き換える方法
- いたす、申し上げる、いただく、するを動詞に語尾に付け加える方法
謙譲語と尊敬語を間違えて使うことが多いので間違えないようにしてください。
謙譲語に置き換える方法
普通の言葉を謙譲語に置き換える方法は、尊敬語に置き換える方法と同様に馴染みがあるのではないでしょうか。
例えば、「もらう」、「行く」を謙譲語に置き換えてみましょう。
「もらう」を謙譲語にすると「いただく」になります。
もらう→いただく
- 普通の文:私は、手紙をもらいました。
- 謙譲語の文:私は、手紙をいただきました。
「行く」を謙譲語にすると「伺う」になります。
行く→伺う
- 普通の文:私は、職員室へ行きます。
- 謙譲語の文:私は、職員室へ伺います。
このように、あらかじめ決まり切った形になっている謙譲語の言葉を使います。下の表はよく使う謙譲語ですのでしっかり覚えてください。
基本 | 謙譲語 |
---|---|
食べる | いただく |
見る | 拝見する |
言う | 申す、申し上げる |
行く | 伺う、参る |
する | いたす |
聴く | うけたまわる、うかがう |
来る | まいる |
いる | おる |
知る | 存じあげる |
思う | 存ずる |
やる | あげる、差し上げる |
見せる | お目にかける |
いたす、申し上げる、いただく、するを付け加える方法
次の方法は、いたす、申し上げる、いただく、するを動詞の語尾に付け加え、さらに「お」、「ご」を動詞の先頭につけます。
この方法は、特に意識していなくても普段から何気なく使われている方は多いのではないでしょうか。
話す、書くを例にして見ていきましょう。
- いたす
- 私が夏休みの課題についてお話しいたします。
- 私が議事録にお書きいたします。
- 申し上げる
- お話し申し上げます。
- お書き申し上げます。
- いただく
- お話しいただきます。
- お書きいただきます。
- する
- お話しします。
- お書きします。
このように、特定の言葉をつなぎ合わせれば謙譲語に変わります。
名詞の謙譲語
名詞を謙譲語にするには、自分側に関するものの言葉(名詞)の先頭に「お」や「ご」をつけます。
この名詞の謙譲語も何気なく使っている方は多いと思います。
知らせ、願い、連絡、案内などの名詞の先頭に、「お」、「ご」を付けて、お知らせ、お願い、ご連絡、ご案内にして使います。
お、ごを付ける方法
- お客様へご連絡します。
- 係のものがご案内します。
このように、おやごをつけてると謙譲語に変わります。
尊敬語と謙譲語の違い
尊敬語はわかるけど謙譲語はよくわからないという方は、尊敬語と謙譲語は違いますので基本をしっかり覚えましょう
尊敬語は相手が主語の時に使い相手を高めること、謙譲語は自分が主語の時に使い自分を下げることです。
例えば、「食べる」を尊敬語と謙譲語にすると、
食べるの尊敬語と謙譲語
- 尊敬語:召し上がる
- 謙譲語:いただく
となります。
「召し上がる」と「いただく」を使って文を作ると次のようになります。
召し上がるといただくを使った尊敬語と謙譲語
- 社長はご飯を召し上がりました。(相手を上げる:相手を高める時は尊敬語を使います。)
- 私はご飯をいただきました。(自分を下げる:主語が自分の時は謙譲語を使います。)
次の文は、尊敬語と謙譲語の使い方が間違っている文です。
尊敬語と謙譲語の間違えの文
- 社長はご飯をいただきました。
- 私はご飯を召し上がりました。
このようにはなりませんので気をつけてください。
4.丁寧語(ていねいご)と改まり語
丁寧語は、丁寧語と美化語の2つがあります。
丁寧語は相手に対して丁寧に述べるもの、美化語は言葉を上品にするものです。
丁寧語を覚えて言葉を綺麗に使いましょう。
丁寧語
丁寧語は、相手に対して丁寧に物事を述べる時に使います。
※誰に対しても使うことができます。
私たちは、普段の会話で丁寧語を何気なく使っていますので理解しやすいと思います。
使い方はとても簡単で、文に「です」「ます」をつけるだけです。
丁寧語の例文
- 私は、高校生です。
- 彼は、先生です。
- 宿題をします。
- 新幹線で東京に行きます。
また、「ございます」を使うことにより、です、ますよりも丁寧さが増す言い方になります。
美化語
美化語とは、言葉を上品に表す時に使います。
また、相手がいなくても、どんなときにも使えます。
使い方はとても簡単で言葉の先頭に「お」、「ご」をつけるだけです。
美化語の言葉
- 普通:塩、砂糖、料理、挨拶、飯
- 美化語:お塩、お砂糖、お料理、ご挨拶、ご飯
このように、おやごをつけてると美化語に変わります。
改まり語
みなさんは、改まった(きちんとした)場面で使われる改まり語をご存じですか?
普通の言い方をするよりも、改まり語を使った方が丁寧さが増します。
例えば、
改まり語の例文
- お客様、明日(あす)お越しください。
- お客様、明日(みょうにち)お越しください。
といわれた時、みょうにちを使った方が丁寧に聞こえませんか。
是非、次のような改まり語を覚えて使ってみてください。
普通の言い方 | 改まった言い方 |
---|---|
今日(きょう) | 本日(ほんじつ) |
明日(あす) | 明日(みょうにち) |
今 | ただいま |
さっき | 先ほど |
そっち | そちら |
あっち | あちら |
すぐ | ただちに |
後で | のちほど |
次 | 次回 |
少し | 少々 |
自分自身の呼び方 | わたくし、わたし |
相手の呼び方 | あなたさま、あなた |
(記事作成日:2016年7月20日、最終更新日:2019年8月25日)